13-2.【不滅の失伝者】── 失われた技
《異常存在記録報告書:A-E/No.013-2》
識別仮称:《不滅の失伝者》
探索者通称:《封技騎士》
分類:技能干渉型異常
収容状況:接触制限指定
危険等級:第一等級
管轄:国連総合ギルド
異常存在管理局(中央監査部)
閲覧制限:第一閲覧指定
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■第二記録:失われた技
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■中央監査部介入
《不滅の失伝者》初回確認から四ヶ月後。
中央監査部は、
確認済み交戦記録十一件を再解析した。
その結果、
技能喪失および未知技能発現は、
単独事例ではないことが判明する。
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■共通被害
確認事項。
・交戦者のみ発生
・未使用技能は影響なし
・対象との交戦中に使用した技能のみ対象
・喪失は本人限定
・再習得不能
特に重要なのは最後の項目であった。
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■再習得試験
被験者三十七名を対象に実施。
・再訓練
・再教育
・魔術理論学習
・技能模倣訓練
全て失敗。
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■被験者証言
「理屈は分かる」
「やり方も覚えている」
「だが身体が拒否する」
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「本を読めば分かる」
「でも実行できない」
「鍵穴だけ無くなったみたいだ」
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中央監査部はこの現象を、
《封技》
と正式命名した。
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■封技発生条件
現在判明している条件は以下。
・対象へ使用された技能
・対象に認識された技能
上記において封技を確認。
選定基準の詳細は不明である。
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■第六交戦事例
土術師個体が以下術式を使用。
・攻撃術《岩槍》
・拘束術《石牢》
・防御術《大地城壁》
交戦記録によれば、
《岩槍》は対象に回避された。
有効打は確認されていない。
一方、
《石牢》は対象の行動を一時的に制限。
《大地城壁》は対象の反撃を複数回防御することに成功している。
戦闘終了後の検査結果は以下。
《岩槍》
→ 使用可能
《石牢》
→ 封技確認
《大地城壁》
→ 封技確認
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■監査局分析
対象は技能を無差別に奪っていない。
少なくとも現在の統計では、
・対象へ使用された技能
・対象に認識された技能
上記において封技を確認。
ただし統計上、
対象へ有効に作用した技能ほど、
封技率が高い傾向を示している。
これは攻撃技能に限らない。
確認事例では、
・有効打を与えた攻撃技能
・行動制限に成功した拘束技能
・反撃を防いだ防御技能
などが高頻度で封技されている。
一方、
回避された技能、
効果を発揮できなかった技能、
戦闘結果へ影響を与えなかった技能については、
封技率が著しく低い。
選定基準の詳細は現在も不明である。
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■継承技能解析
未知技能発現についても調査を実施。
その結果、
発現技能には一定の傾向が存在した。
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■継承事例一覧
確認された技能例。
・初級治癒術
・基礎槍術
・汎用剣技
・古式格闘術
・王国式体術
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大半は現在も広く使用されている技能、
あるいは低位〜中位技能で占められていた。
一方で極少数ながら、
・失伝格闘術
・古代治癒術
・滅亡流派剣技
なども確認されている。
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■第四交戦事例
討伐参加者の一名が、
未知技能として《白花治癒術》を習得。
後の調査により、
同術式は百二十年前に断絶した治癒体系と一致した。
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■第九交戦事例
討伐参加者が習得した剣技を調査。
結果、
滅亡済み流派《黒鷹流》の記録と一致。
当代継承者は存在しない。
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■監査局分析
継承技能の大半は、
現在も存在する一般技能である。
失伝技能の発現は確認されているものの、
発生率は極めて低い。
しかし、
その希少性は無視できない。
現在確認されている事例だけでは、
失われた技術群の再出現を説明できないためである。
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■探索者社会の反応
この情報は非公開指定であった。
しかし情報流出を完全には防げなかった。
継承技能の大半は
一般技能で占められていた。
しかし人々が記憶したのは、
“失われた技術が戻った”
という事実の方であった。
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■流出記録抜粋
「失われた技を取り戻せる」
「倒せば伝説技能が手に入る」
「俺の流派を復活させられる」
以後。
古代流派関係者、
秘術研究者、
高位探索者による接触申請が急増。
中央監査部は、
対象への無許可接触を禁止した。
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■暫定結論
《不滅の失伝者》は単なる戦闘型異常存在ではない。
対象は、
・技能を封じる
・技能を保持する
・技能を再分配する
可能性が高い。
現在、
中央監査部は本件を
技能干渉型異常として正式分類。
長期監視対象へ移行した。
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■監査官付記
情報流出後、
私の元へ三十七件の接触申請が届いた。
内容はほぼ同じだ。
「失われた技を取り戻したい」
気持ちは理解できる。
私も遺跡調査官だった頃なら、
同じことを考えたかもしれない。
失われた技術が本当に戻るのだとしたら、
研究者として興味がないと言えば嘘になる。
だが、
人々は戻ってきた技術ばかりを見ている。
私にはむしろ、
失われたものの方が気になる。
――中央監査部
第四監査官《ローエン》
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※本報告は「承」段階記録である。
次段階(転)では、
無許可接触者の急増、
および《封技狩り》の発生について記録する。
次回投稿 本日21:00
13-3.【不滅の失伝者】── 失われた技を求めて




