11-2.【髑髏狩り】── 討伐後に残ったもの
《異常存在記録報告書:A-E/No.011-2》
識別仮称:《髑髏狩り》
通称:“首狩りの鎌”
分類:武装媒介型異常
収容状況:収容済み(暫定)
危険等級:第二等級
管轄:国連総合ギルド
異常存在管理局(中央監査部)
閲覧制限:第二閲覧指定
⸻
■第二記録:鎌の本体性
⸻
■討伐作戦
《狒々の森》事案発生後。
中央監査部は、
類似事案との関連性を重視。
対象の早期発見および討伐を決定した。
任務は、
聖職者パーティ《聖光の剣》
へ委任された。
⸻
■対象発見
対象は《狒々の森》深部にて発見。
外見は“起”記録と概ね一致。
・首なし骨格
・黒色ローブ
・大型大鎌
を確認。
⸻
■戦闘記録
交戦開始直後、
対象は高い機動力を発揮。
戦闘記録上、
接近戦を主体とした行動傾向が確認された。
しかし、
聖職者パーティによる組織的な迎撃により、
対象は徐々に劣勢となる。
聖騎士による前衛維持、
聖術師による遠隔支援が有効に機能したものと推定される。
⸻
■討伐成功
交戦開始より約二十分後。
対象は聖騎士による致命的損傷を受け、
骨格構造の維持に失敗。
全身は黒色霧へ変化した後、
完全に消失した。
⸻
■残留物
しかし、
対象消失後も大型大鎌のみが現場へ残留。
消失は確認されなかった。
⸻
■回収作業
討伐後、
聖職者らは対象武装の回収を実施。
事前に、
・浄化術
・結界展開
・呪詛探査
を実施。
その上で接触を試みた。
⸻
■異常事象
回収作業中、
パーティ所属モンクが突如として隊列を離脱。
大型大鎌へ接近した。
現場記録。
聖騎士:
「止まれ!」
モンク:
「…………」
聖騎士:
「聞こえているのか!」
⸻
制止命令に反応せず。
対象は大鎌へ手を伸ばそうとした。
⸻
■強制制圧
異変を察知した聖騎士が即時拘束。
モンクは激しく抵抗。
通常では考えられない執着行動を示した。
⸻
■証言記録
「分からない」
「ただ……」
「触らなきゃいけない気がした」
⸻
■封印
回収された大鎌は、
大神殿地下封印区画へ移送。
高位結界による封印が実施された。
⸻
■研究結果
監査部および教会研究部門は、
回収された大鎌の調査を実施。
その結果、
複数の重要事実が判明した。
⸻
■転化再現実験
死刑囚および亜人犯罪者を対象に、
管理下で接触試験を実施。
結果。
対象は種族を問わず、
大鎌を手にした直後、
自らの頸部を切断。
“起”記録と同一の変異現象が再現された。
⸻
■確認事項
・転化対象は人間に限定されない
・種族差は確認されず
・転化後はいずれも首なし骨格へ変異
・人格保持は確認されず
⸻
■精神干渉
また、
対象武装周辺において、
軽度の精神影響が確認された。
主症状は、
・接触欲求
・所有欲求
・好奇心の増大
である。
ただし現段階では影響は限定的であり、
高位術師および神官への影響は確認されていない。
なおモンク一名にのみ、
接触衝動が発生した理由は不明である。
⸻
■破壊試験
対象武装に対し、
・高位聖属性術式
・魔導切断具
・封印破砕術式
を用いた破壊試験を実施。
結果、
対象への有効な損傷は確認されなかった。
むしろ、
試験強度の上昇に伴い、
接触欲求および所有欲求の増大が確認された。
対象は破壊行為そのものに反応している可能性がある。
当該試験は中止された。
⸻
■暫定考察
以上の結果より、
首なし個体は異常の本体ではない。
大鎌そのものが
《髑髏狩り》事案の発生源である可能性が極めて高い。
⸻
■危険性評価
対象武装は、
種族を問わず新規《髑髏狩り》個体を生成可能である。
また精神干渉により、
回収・封印・研究作業へ影響を及ぼす危険性が確認された。
現段階では影響範囲は限定的であるものの、
長期保管時における危険性は不明。
⸻
■対応措置
中央監査部は、
当該武装を《髑髏狩り》事案の本体候補として再分類。
封印強度を上げ、
大神殿管理下において封印を継続。
接触および実験を原則禁止とした。
⸻
■監査官付記
あの鎌は、
首なしの怪物を作る。
研究結果はそう結論付けた。
だが私は気になっている。
あの怪物は、
なぜ首だけを狩る。
人間も。
魔物も。
獣も。
そこにどんな意味がある。
その答えだけが、
まだ見つかっていない。
――中央監査部
第七監査官《ラルク》
⸻
※本報告は第二記録(承)である。
次段階では、
長期封印後に発生した異常事案および対象の再出現について記載する。
次回投稿 本日21:00
11-3.【髑髏狩り】── 封印は成功していた




