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異常存在記録《AER》~怪異の発見、調査、封鎖、そして失敗~  作者: SN


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11-1.【髑髏狩り】── 首なし狩人

《異常存在記録報告書:A-E/No.011-1》


識別仮称:《髑髏狩り》

通称:“首狩りの鎌”


分類:武装媒介型異常

収容状況:未収容

危険等級:第二等級

管轄:国連総合ギルド

 異常存在管理局(中央監査部)

閲覧制限:第二閲覧指定



■第一記録:首なし狩人



■事案概要


本報告書は、


中級ダンジョン《狒々の森》にて発生した

冒険者パーティ壊滅事案を契機として開始された

異常存在調査記録である。


当初、

当該事案は魔物による襲撃と判断されていた。


しかし生存者証言および現場状況には、

通常事例では説明困難な複数の異常点が確認された。


中央監査部は調査を開始。


後に本件は、

武装を媒介とする異常存在事案として再分類されることとなる。



■発生場所


中級ダンジョン

《狒々の森》


森林型ダンジョン。


猿型魔獣の生息地として知られ、

中堅冒険者による探索が日常的に行われている。



■生存者証言


生還者は一名。


パーティ《疾風の翼》所属斥候。


発見時、

対象は全身に裂傷を負い、

著しい混乱状態にあった。


精神安定処置後、

以下の証言を得ている。



■証言記録抜粋


「鎌だった……」


「ただの鎌だと思ったんだ……」


「アイツが拾って……」


「そしたら、自分で……」


「自分の首を……」



■事案発生状況


対象パーティは探索中、

戦闘痕の残る開けた空間へ到達。


空間中央には、

多数の血痕と一本の大型大鎌だけが残されていた。


周辺に死体は存在しなかった。


対象物は、


全長:約二メートル

刃部:著しく鋭利

柄部:黒色

魔力反応:微弱

損傷:なし


であった。



■パーティ内会話記録(再構成)


神官:


「待ってください。

 何かおかしいです」


魔術師:


「罠の可能性があります」


リーダー:


「戦闘で負傷して誰かが落としただけだろ」


「運が良かったじゃねぇか」



■接触


リーダーが大鎌を拾得。


直後、

対象は動きを停止。


数秒間、

完全に静止した。



■異常現象発生


次の瞬間、


対象は大鎌を振り上げ、


自らの頸部を切断。



■変異過程


切断された頭部は地面へ落下。


数秒以内に骨化。


その後消失。


同時に肉体へ変化が発生。


・皮膚消失

・筋肉崩壊

・骨格露出

・黒色ローブ形成


頸部断面からは

黒色霧状物質の発生を確認。



■変異結果


対象は、

首を持たないスケルトン型存在へ変異。


以後、本報告書では当該存在を

《髑髏狩り》と仮称する。


その後、

即座に周辺者への攻撃を開始した。



■戦闘経過


最前列にいた戦士が最初の犠牲者となる。


対象は大鎌による一撃で戦士の首を切断。


戦士は即死。


以後、

パーティによる有効な反撃は確認されていない。



魔術師:


「何なんだ、あれは!」


神官:


「逃げてください!」



生還者証言によれば、

対象は他部位への攻撃をほとんど行わなかった。


確認された致命傷は全て頸部への斬撃である。


また、

対象は生前のリーダーを大幅に上回る速度を発揮していたと推定される。


証言抜粋:


「速かった……」


「いや、それだけじゃない……」


「アイツは首しか見てなかった」


「最初から最後まで、

 俺たちの首だけを狙ってた……」



生還者である斥候は、

仲間の援護により現場から離脱。


その後、

ギルドへ帰還。


以降、

パーティ所属者の生存は確認されていない。



■現地調査


ギルド討伐隊到着時、

現場では以下を確認。


・戦士

・魔術師

・神官


計三体の遺体。


全て頸部切断状態。


問題の大鎌および、

首なし個体は発見されなかった。



■関連事案調査


本件を受け、

中央監査部は過去記録を再調査。


結果、

各地で発生していた未解決の首切断事案との類似性を確認。



■類似事項


・頸部切断死体

・頭部消失

・鋭利な切断面


また、

対象は人間以外にも、


・魔物

・亜人

・獣種


に対する同様の頸部切断事例が確認された。


これらの事案は、


・冒険者による素材採取

・盗賊や犯罪者による犯行

・魔物同士の縄張り争い


として個別処理されていた。


しかし本件との共通性が確認されたことで、

再調査対象へ指定された。



■暫定考察


当初、

対象は失われた自身の頭部を探している可能性が考えられた。


しかし調査結果は、

対象が種族を問わず首を狩っていることを示している。


対象の行動目的は不明。



■対応措置


中央監査部は本件を異常存在案件として正式受理。


以下を通達。


・首なし死体発見時の即時報告

・単独探索禁止勧告

・類似武装発見時の接触禁止



■監査官付記


首を探しているように見える。


だが、

人間も、

魔物も、

獣も狩る。


あれが探しているのは

本当に首なのか。


私はそうは思えない。


――中央監査部

第七監査官《ラルク》



※本報告は第一記録(起)である。


次段階では、

対象個体の討伐および回収された武装の調査記録を記載する。

次回投稿 明日20:00

11-2.【髑髏狩り】── 討伐後に残ったもの

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