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異常存在記録《AER》~怪異の発見、調査、封鎖、そして失敗~  作者: SN


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40/60

10-4.【■■■■■】── あそこへ行くな

《異常存在記録報告書:A-E/No.010-4》


識別仮称:《■■■■■》


分類:情報災害型異常(暫定)

収容状況:調査終了・封鎖監視指定

危険等級:第二等級

管轄:国連総合ギルド

 異常存在管理局(中央監査部)

閲覧制限:閲覧禁止指定



■最終記録:あそこへ行くな



■第一次討伐試行


《認識捕食者》正式登録後、

中央監査部は対象の討伐計画を立案。


高位術士、

上級冒険者、

対認識異常専門官による混成部隊を編成した。



結果。


失敗。



帰還人数は一名不足。


消失隊員の記録は欠損。


討伐記録は部分欠落。


対象への有効打も確認されなかった。



■第二次討伐試行


第一次失敗後、

監査部は追加調査を実施。


認識固定術式、

記憶保護呪具、

複製記録媒体を投入。


再度討伐隊を派遣した。



結果。


失敗。



消失者二名。

対象活動継続。

記録侵食進行。


なお、

帰還隊員は消失者を説明できなかった。



■第三次討伐試行


王暦██年██月██日。


第三次討伐隊派遣。


その後、

重大異常が発生した。


討伐隊編成記録が存在しない。

隊員名簿が存在しない。

派遣命令書が存在しない。

帰還報告書が存在しない。


しかし監査部内部には、


「第三次討伐隊を派遣した」


という認識だけが残存していた。


派遣されたはずである。


だが証明できない。



■緊急会議記録(抜粋)


記録管理官:


「調査するほど消えています」


第一監査官:


「記録が失われているのか」


記録管理官:


「分かりません」


第八監査官:


「違います」


(沈黙)


第八監査官:


「記録が消えているのではありません」


「我々が認識しようとしている行為そのものが接触になっています」


第一監査官:


「説明しろ」


第八監査官:


「対象は人を襲っているのではありません」


「少なくとも、

 現在の記録はそう示しています」


「対象が捕食しているのは、

 人間そのものではない」


「情報です」


「被害者」


「記録」


「事件」


「そして調査そのものを」


(沈黙)


第一監査官:


「……結論は」


第八監査官:


「調査継続は危険です」



■調査終了勧告


王暦██年██月██日。


中央監査部は本件調査終了を決定。


理由は以下。


・調査行為自体が侵食拡大要因となる可能性

・記録維持不能

・調査員認識障害

・継続調査による追加被害


以後、


直接調査禁止。

追加討伐禁止。

空白室永久封鎖。

関連資料閲覧制限。


を実施。



■現在状況


灰層回廊第三層北西区画は永久封鎖中。

封鎖通達は現在も継続発行されている。


ただし問題が存在する。


封鎖担当職員の大半が、


「なぜ封鎖しているのか」


を説明できない。


それにも関わらず、

封鎖命令だけは更新され続けている。



■第八監査官付記


本件は認識異常ではない。


情報災害である。


対象は、

その人間に関する情報を捕食している。


結果として、

人間が消えたように見えるだけだ。


我々が本当に失っているものは命ではない。


存在したという事実である。


だからこそ危険だ。


事実は再生しない。


――中央監査部

第八監査官《ホーン》



■最終決裁記録


本件調査を終了する。


理由は記録されていない。


だが終了しなければならない。


その事実だけは全員が覚えていた。


本報告書を閲覧禁止指定へ変更する。


――中央監査部

第一監査官《アルヴェイン》



■最終付記


本報告書は現在、

閲覧禁止指定となっている。


理由については不明。



対象名称:欠損

被害者記録:欠損

発生原因:欠損

調査記録:欠損



唯一残存していた文章を以下へ転記する。



「もしこの文章を読んでいるなら、


我々は失敗した」



以降の記録は存在しない。


※上記文章の作成者は不明。

次回投稿 本日23:00

11-1.【髑髏狩り】── 首なし狩人

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