10-4.【■■■■■】── あそこへ行くな
《異常存在記録報告書:A-E/No.010-4》
識別仮称:《■■■■■》
分類:情報災害型異常(暫定)
収容状況:調査終了・封鎖監視指定
危険等級:第二等級
管轄:国連総合ギルド
異常存在管理局(中央監査部)
閲覧制限:閲覧禁止指定
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■最終記録:あそこへ行くな
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■第一次討伐試行
《認識捕食者》正式登録後、
中央監査部は対象の討伐計画を立案。
高位術士、
上級冒険者、
対認識異常専門官による混成部隊を編成した。
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結果。
失敗。
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帰還人数は一名不足。
消失隊員の記録は欠損。
討伐記録は部分欠落。
対象への有効打も確認されなかった。
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■第二次討伐試行
第一次失敗後、
監査部は追加調査を実施。
認識固定術式、
記憶保護呪具、
複製記録媒体を投入。
再度討伐隊を派遣した。
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結果。
失敗。
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消失者二名。
対象活動継続。
記録侵食進行。
なお、
帰還隊員は消失者を説明できなかった。
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■第三次討伐試行
王暦██年██月██日。
第三次討伐隊派遣。
その後、
重大異常が発生した。
討伐隊編成記録が存在しない。
隊員名簿が存在しない。
派遣命令書が存在しない。
帰還報告書が存在しない。
しかし監査部内部には、
「第三次討伐隊を派遣した」
という認識だけが残存していた。
派遣されたはずである。
だが証明できない。
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■緊急会議記録(抜粋)
記録管理官:
「調査するほど消えています」
第一監査官:
「記録が失われているのか」
記録管理官:
「分かりません」
第八監査官:
「違います」
(沈黙)
第八監査官:
「記録が消えているのではありません」
「我々が認識しようとしている行為そのものが接触になっています」
第一監査官:
「説明しろ」
第八監査官:
「対象は人を襲っているのではありません」
「少なくとも、
現在の記録はそう示しています」
「対象が捕食しているのは、
人間そのものではない」
「情報です」
「被害者」
「記録」
「事件」
「そして調査そのものを」
(沈黙)
第一監査官:
「……結論は」
第八監査官:
「調査継続は危険です」
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■調査終了勧告
王暦██年██月██日。
中央監査部は本件調査終了を決定。
理由は以下。
・調査行為自体が侵食拡大要因となる可能性
・記録維持不能
・調査員認識障害
・継続調査による追加被害
以後、
直接調査禁止。
追加討伐禁止。
空白室永久封鎖。
関連資料閲覧制限。
を実施。
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■現在状況
灰層回廊第三層北西区画は永久封鎖中。
封鎖通達は現在も継続発行されている。
ただし問題が存在する。
封鎖担当職員の大半が、
「なぜ封鎖しているのか」
を説明できない。
それにも関わらず、
封鎖命令だけは更新され続けている。
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■第八監査官付記
本件は認識異常ではない。
情報災害である。
対象は、
その人間に関する情報を捕食している。
結果として、
人間が消えたように見えるだけだ。
我々が本当に失っているものは命ではない。
存在したという事実である。
だからこそ危険だ。
事実は再生しない。
――中央監査部
第八監査官《ホーン》
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■最終決裁記録
本件調査を終了する。
理由は記録されていない。
だが終了しなければならない。
その事実だけは全員が覚えていた。
本報告書を閲覧禁止指定へ変更する。
――中央監査部
第一監査官《アルヴェイン》
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■最終付記
本報告書は現在、
閲覧禁止指定となっている。
理由については不明。
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対象名称:欠損
被害者記録:欠損
発生原因:欠損
調査記録:欠損
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唯一残存していた文章を以下へ転記する。
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「もしこの文章を読んでいるなら、
我々は失敗した」
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以降の記録は存在しない。
※上記文章の作成者は不明。
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