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異常存在記録《AER》~怪異の発見、調査、封鎖、そして失敗~  作者: SN


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01-4.【雨踊り】── 雨音は止まない

《異常存在記録報告書:A-E/No.001-4》


識別仮称:《雨踊り》

古称:《空蝉の舞》


分類:管理運用型異常技術

収容状況:管理運用指定

危険等級:第二等級

管轄:中央監査部

閲覧制限:第二閲覧指定



■最終記録:管理運用指定


《レイス》消失事案以降、

中央監査部は《雨踊り》危険性評価を再実施。


一時は封印指定も検討された。


しかし最終的に、

《雨踊り》は

「管理運用型異常技術」

として正式指定された。


理由は以下。


* 完全封鎖困難

* 条件限定型出現

* 高位潜入性能

* 戦略的有用性


なお、

決定時点においても、

《レイス》の最終状態は不明。



■危険性再定義


継続調査により、

《雨踊り》危険性は、

舞踏時間ではなく、


《舞踏完成度》


に比例することが正式認定された。


特に高適性保持者ほど、

対象との同期速度が異常上昇。


存在希薄化進行率も高い。


報告書には、

以下記述が残されている。


「優秀な潜入員ほど危険」



■適性検査制度


現在、

接触前には事前適性検査を義務化。


検査項目:


* 同調反応速度

* 無意識模倣率

* 認識希薄耐性

* 存在固定指数

* 舞踏同期適性


一定基準超過者については、

接触禁止指定対象となる。



■永久接触禁止指定


以下該当者は、

《雨踊り》への永久接触を禁止。


* 高位舞踏適性保持者

* 深度接触経験者

* 存在希薄化進行者

* 認識異常後遺症発症者


特に、

第四舞踏域適性保持者については、

例外なく隔離監視対象となる。


理由は単純である。


“最後まで踊れてしまう”


ためである。



■限定運用記録


一方、

中程度適性保持者による限定運用では、

比較的安定した生還率を確認。


現在、

《雨踊り》由来舞踏技術は、


* 潜入部隊

* 斥候部隊

* 対魔術暗殺部隊


において限定運用中。


確認戦果:


* 高位結界区域侵入

* 魔力感知網突破

* 龍族感知回避


ただし、

継続接触は禁止。


単独運用時間にも厳格制限が設けられている。



■長期接触後遺症


長期利用者には、

軽度認識異常後遺症を確認。


主症状:


* 呼名反応遅延

* 存在感低下

* 写真輪郭劣化

* 集団内認識率低下


一部重度接触者については、


「昔からそこにいなかった気がする」


との証言が提出されている。



■記録異常


現在も、

過去潜入記録内に複数不整合を確認。


確認例:


* 人数記録不一致

* 欠落署名

* 空白化顔写真

* 存在しない隊員番号

* 発言者不明音声


なお、

一部任務記録では、


「成功したはずの潜入任務に、

 実行者が存在しない」


事例も確認されている。


原因不明。



■主流見解


現在、

中央監査部内における主流見解は以下。


《雨踊り》は、

“姿を隠す術”

ではない。


“世界から認識される強度そのものを削る儀式”


である。


対象は接触者を段階的に希薄化し、

最終的に、


“誰にも届かない状態”


へ変質させている可能性が高い。


それが死なのか、

消失なのか、

あるいは別種の到達なのかは、

現在も不明。



■秘伝書末尾記録(全文)


秘伝書《空蝉の舞》末尾記録。


「忍ぶとは、隠れることではない」


「誰にも届かなくなることだ」


「最後まで踊った者が、

 どこへ行くのかは誰も知らない」



■補遺記録


封鎖指定後も、

断続的に目撃報告が提出されている。


「雨の中で、

 誰かが踊っていた」


報告内容はほぼ共通している。


しかし、

目撃者の多くは、

踊り子の顔を説明できない。


また、

複数報告書において、

以下一文が共通して追記されていた。


「途中から、

 自分も踊っていた気がする」


なお、

追記者本人は、

後日面談時、

当該記述を書いた記憶を保持していない。



■最終結論(結)


《雨踊り》は、

降雨環境下に限定出現する舞踏型異常存在である。


対象は舞踏接触を介し、

高度な隠密能力を付与する。


しかしその本質は、

存在そのものを

世界認識から遠ざける

認識外潜行儀式

である可能性が高い。


現在、

中央監査部は

《雨踊り》を

管理運用指定異常として監視継続中。


なお、

降雨時における無許可舞踏行為は禁止指定とする。



■監査官付記


現在、

降雨時無許可舞踏は禁止指定となっている。


だが報告は、

今も断続的に提出され続けている。


「雨の中で、

 誰かが踊っていた」


という目撃記録だ。


奇妙なことに、

私はその報告書を読む度、

毎回同じ感覚を覚える。


“もう少しで、

 思い出せそうだ”


という感覚だ。


何を、

なのかは分からない。


なお、

本付記記録作成中、

執務室外に降雨は確認されていない。


それにも関わらず、

断続的な雨音が記録されている。


――中央監査部

第三監査官|(署名欠損)



※本報告書は統合閲覧指定対象である。

第二閲覧権限未満による複製・転写・口外を禁止する。

次回投稿 明日20:00

02-1.【公平取引】── 迷宮に現れる商店部屋

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