04-4.【泥塑師】── 右手
《異常存在記録報告書:A-E/No.004-4》
識別仮称:《泥塑師》
分類:創作型広域災害
収容状況:収容不能
危険等級:特級指定
管轄:国連総合ギルド 異常存在管理局(中央監査部)
閲覧制限:第一閲覧指定
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■第四記録:継続災害指定(結)
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■作品解析調査
回収作品群の表面には、
共通した“指痕”が残されていた。
中央監査部芸術解析班は、
各地で回収された異常作品群の比較調査を実施。
その結果、
複数作品に共通する特徴を確認した。
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■解析結果
作品表面に残留していた指痕は、
地域・制作時期を問わず高精度で一致。
また、
押圧方向、
指関節構造、
爪痕位置にも共通性が確認されている。
芸術解析班は、
当該痕跡について、
「制作痕というより、署名に近い」
と報告している。
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ただし、
* 単一個体説
* 群体説
* 本体別存在説
はいずれも否定されていない。
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■ローデ村周辺再調査
ローデ村事案から約半年後。
《西方辺境諸侯領》
ベルド辺境伯領北部丘陵地帯にて、
地下大空洞を確認。
内部は異常な高湿度状態を維持。
壁面・床面の大半は、
灰色粘土質へ変質していた。
中央監査部は、
高位探索者および王立封印院混成調査隊を派遣した。
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■空洞内部調査
内部空間では、
大量の異常彫刻を確認。
作品群は、
壁面・天井・床面へ埋め込まれるように配置されていた。
確認された素材は、
* 人間
* 家畜
* 魔物
など多岐に渡る。
しかし、
これらの作品には、
過去事案で確認されていた
* 脈動
* 発声
* 生体反応
が一切存在しなかった。
全て、
完全に沈黙していた。
調査隊記録では、
内部空間について以下の記述が残されている。
「湿っていた」
「空洞全体が、
呼吸しているみたいだった」
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■最深部調査
空洞最深部にて、
調査隊は超大型構造物を確認した。
それは、
“巨大な右手”
だった。
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全長推定:約十八m。
構造材の大半は、
生物由来組織によって形成されていた。
表面には、
* 人間顔面構造
* 魔物外皮
* 骨格露出部
* 指状癒着構造
などが混在。
五指構造を維持したまま、
地面を掴むような姿勢で固定されていた。
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■調査隊記録抜粋
「……手だ」
「何かを、
掴もうとしてる」
「いや、
まだ掴み続けてるのか……?」
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■破壊処理作戦
中央監査部は、
当該構造物を《泥塑師》本体、
あるいは中枢構造体である可能性が高いと判断。
王立封印院および高位攻撃術士部隊による、
破壊処理作戦を実施した。
実施内容:
* 高位火炎術式
* 聖印崩壊術
* 空洞圧壊
* 広域焼却処理
結果:
巨大右手構造物は崩壊。
しかし、
破壊処理中、
顕著な異常反応は確認されなかった。
* 自律運動なし
* 防衛反応なし
* 泥の手出現なし
調査員の一部は、
「あまりにも簡単すぎた」
と証言している。
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■事後経過
地下空洞は完全封鎖。
中央監査部は当初、
泥塑事案終息の可能性を想定した。
しかし三日後。
高濃度魔物生息域にて、
新たな異常彫刻群が発見された。
泥塑災害は、
終息していなかった。
回収作品には、
地下空洞構造物と一致する指痕を確認。
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■現行対応方針
現在もなお、
《泥塑師》への有効対抗手段は確認されていない。
唯一確認されている生存法則は、
「三回目の液体音より先に逃走すること」
のみである。
中央監査部は現在も、
* 発生条件
* 出現法則
* 構造物関連性
* 制作目的
について調査を継続中。
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■最終結論
地下空洞内巨大右手構造物と、
《泥塑師》との関連性は不明。
当該構造物が、
本体であった可能性は否定できない。
しかし、
破壊後も泥塑災害は継続している。
現在判明している事実は、
以下のみである。
《泥塑師》は現在もなお、
生物を素材とした“作品制作”を継続している。
そして人類は未だ、
それから逃げることしかできていない。
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■監査官付記
巨大構造物は、
明確に“右手”を模していた。
現在確認されている泥の手も、
全て右手形状である。
左手の出現事例は、
現在まで一件も確認されていない。
だが、
私はその事実を楽観視できない。
……左手は、
どこにある?
――中央監査部
第六監査官《シス》
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※本報告書は第一封印版である。
中央監査部許可なく閲覧・複製・芸術解析を実施してはならない。
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