表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異常存在記録《AER》~怪異の発見、調査、封鎖、そして失敗~  作者: SN


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/27

04-4.【泥塑師】── 右手

《異常存在記録報告書:A-E/No.004-4》


識別仮称:《泥塑師》


分類:創作型広域災害

収容状況:収容不能

危険等級:特級指定

管轄:国連総合ギルド 異常存在管理局(中央監査部)

閲覧制限:第一閲覧指定



■第四記録:継続災害指定(結)



■作品解析調査


回収作品群の表面には、

共通した“指痕”が残されていた。


中央監査部芸術解析班は、

各地で回収された異常作品群の比較調査を実施。


その結果、

複数作品に共通する特徴を確認した。



■解析結果


作品表面に残留していた指痕は、

地域・制作時期を問わず高精度で一致。


また、

押圧方向、

指関節構造、

爪痕位置にも共通性が確認されている。


芸術解析班は、

当該痕跡について、


「制作痕というより、署名に近い」


と報告している。



ただし、


* 単一個体説

* 群体説

* 本体別存在説


はいずれも否定されていない。



■ローデ村周辺再調査


ローデ村事案から約半年後。


《西方辺境諸侯領》

ベルド辺境伯領北部丘陵地帯にて、

地下大空洞を確認。


内部は異常な高湿度状態を維持。


壁面・床面の大半は、

灰色粘土質へ変質していた。


中央監査部は、

高位探索者および王立封印院混成調査隊を派遣した。



■空洞内部調査


内部空間では、

大量の異常彫刻を確認。


作品群は、

壁面・天井・床面へ埋め込まれるように配置されていた。


確認された素材は、


* 人間

* 家畜

* 魔物


など多岐に渡る。


しかし、

これらの作品には、

過去事案で確認されていた


* 脈動

* 発声

* 生体反応


が一切存在しなかった。


全て、

完全に沈黙していた。


調査隊記録では、

内部空間について以下の記述が残されている。


「湿っていた」


「空洞全体が、

 呼吸しているみたいだった」



■最深部調査


空洞最深部にて、

調査隊は超大型構造物を確認した。


それは、


“巨大な右手”


だった。



全長推定:約十八m。


構造材の大半は、

生物由来組織によって形成されていた。


表面には、


* 人間顔面構造

* 魔物外皮

* 骨格露出部

* 指状癒着構造


などが混在。


五指構造を維持したまま、

地面を掴むような姿勢で固定されていた。



■調査隊記録抜粋


「……手だ」


「何かを、

 掴もうとしてる」


「いや、

 まだ掴み続けてるのか……?」



■破壊処理作戦


中央監査部は、

当該構造物を《泥塑師》本体、

あるいは中枢構造体である可能性が高いと判断。


王立封印院および高位攻撃術士部隊による、

破壊処理作戦を実施した。


実施内容:


* 高位火炎術式

* 聖印崩壊術

* 空洞圧壊

* 広域焼却処理


結果:


巨大右手構造物は崩壊。


しかし、

破壊処理中、

顕著な異常反応は確認されなかった。


* 自律運動なし

* 防衛反応なし

* 泥の手出現なし


調査員の一部は、


「あまりにも簡単すぎた」


と証言している。



■事後経過


地下空洞は完全封鎖。


中央監査部は当初、

泥塑事案終息の可能性を想定した。


しかし三日後。


高濃度魔物生息域にて、

新たな異常彫刻群が発見された。


泥塑災害は、

終息していなかった。


回収作品には、

地下空洞構造物と一致する指痕を確認。



■現行対応方針


現在もなお、

《泥塑師》への有効対抗手段は確認されていない。


唯一確認されている生存法則は、


「三回目の液体音より先に逃走すること」


のみである。


中央監査部は現在も、


* 発生条件

* 出現法則

* 構造物関連性

* 制作目的


について調査を継続中。



■最終結論


地下空洞内巨大右手構造物と、

《泥塑師》との関連性は不明。


当該構造物が、

本体であった可能性は否定できない。


しかし、

破壊後も泥塑災害は継続している。


現在判明している事実は、

以下のみである。


《泥塑師》は現在もなお、

生物を素材とした“作品制作”を継続している。


そして人類は未だ、

それから逃げることしかできていない。



■監査官付記


巨大構造物は、

明確に“右手”を模していた。


現在確認されている泥の手も、

全て右手形状である。


左手の出現事例は、

現在まで一件も確認されていない。


だが、

私はその事実を楽観視できない。


……左手は、

どこにある?


――中央監査部

第六監査官《シス》



※本報告書は第一封印版である。

中央監査部許可なく閲覧・複製・芸術解析を実施してはならない。

次回投稿 本日21:00

05-1.【飼育樹】── 飢えない果実

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ