6話―03
◇
下らない話しをしながら昼飯を食って、 学校が終わってバス停でバスを待つ。
大差ない日々の光景。
『あの……』
そう声が掛けられたのがイレギュラーな出来事で……いや、そもそも山田という存在がイレギュラーなんだよな。何だよ、自称宇宙人とか。電波にもほどがある。
そんな山田とも今日でお別れか……。
そう思うと少し、ほんの少しだけ淋しくなった。
「ただいま」
「おっかえりなさいです!」
……。
さっきまでのシンミリとした雰囲気を返せ、このヤロー。
「え? どうして伊藤さんは私を睨んでいるのですか?」
良い笑顔を浮かべて、エプロン姿で出迎える山田が悪い。
「あっ伊藤さん!」
「何?」
「あと少ししたら、この家を出ていきます。宜しければバス停まで見送って頂けませんか?」
山田はエプロンの前で手を握って俺を正面から見る。
「……うん」
「わぁ! 良かったぁ。それじゃあ、用意してくるんで待ってて下さいね」
パァと顔を明るくさせ、台所へと姿を消した。
……山田は宇宙人だから、こんなにも普通に笑っていられるのかな。
笑顔で“さよなら”か……。
俺にはできそうもないな……。
「夷藤さん! 少し早いですが、行きましょうか?」
荷物を持った山田が少し息を切らせて出てきた。
「それじゃあ花子ちゃん気を付けね」
「はい!」
山田は母さんと抱擁した。
「元気でおらんなんげんよ」
「おばあさまも」
ばあちゃんとも抱擁して、克己と向きあう。
「勉強頑張ってね」
「かっちゃんこそ、頑張って下さいね」
流石に弟とは抱擁はしなかった。
「それじゃあ、お父さまにも宜しくお伝え下さい」
「えぇ、分かったわ」
母さんが代表してそう言うと、山田は笑顔を見せてから靴を履いた。
「本当にありがとうございました!」
「じゃ、行ってくるわ」
俺と山田は夷伊藤家を後にした。
「それにしても」
ん?
家を出て暫らくすると山田がポツリと呟いた。




