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5話―11
急激に顔が熱くなる。だが、山田は至って真面目な顔で続けた。
「だって、あれ、最先端の防寒対策なのでしょう?」
はい?
「寒くないように手を握るんですよね? 一人じゃちっとも暖かくなくて……」
おい、こら、山田。
自分ばかりしょぼくれちゃってさ。俺のこの、一瞬でも期待して爆発しそうになったウブなドキドキを返してくれ。
「はぁ……もう、好きにしたらいいよ……」
「はい!」
俺が力なく差し出した右手を、山田は待ってましたとばかりに両手でギュッと握りしめた。
「……山田」
「はい!」
見上げてくる彼女の瞳は、一点の曇りもなく澄んでいる。
「手、冷たいですけど」
山田の手もこの上なく冬の空のように澄んでいた…(要は冷たすぎた)。
「気のせいです!」
どんな切り返しだよ?!
人の感覚に“気のせい”って変だろ。
「それに、好きにしたら良いって言ったではありませんか。それとも伊藤さんは一度言った言葉を覆すのですか?」
うっ。
「それでも伊藤さんは地球人ですか?!」
えええええええ?! その台詞間違ってるよ!
いや、俺は地球人だけどさ!




