5話―05
「あと三十分後にはバスが出るのですから、こうやって歩いて時間を潰せば良いんですね!」
違うし!
俺が言いたかった"二時間歩くより待った方が早い"という結論に、どうしてそんな斜め上のルートで辿り着くんだ。
いや、まぁ、別にそれでも良いんだけどさ。そもそも、宇宙人と意思の疎通をバッチリできると思ってた訳でもないし。
「ん? でも、朝ごはんどうするんだ?」
「はい?」
「バスに乗っていくと、遅くとも八時には目的地に着く。でも、そんな早い時間じゃどこの飯屋も開店してないぞ」
観光地の飲食店って、だいたい十時開店だった気がする。
「……地球の飲食店は、開店時間が遅い、と」
山田は懐からメモ帳を取り出し、真顔でメモを取り始めた。
絶対に"遅い"の文字に私情がこもってるだろ。
「あっ、私、一度『こんびにえんすすとあ』に行ってみたいので、朝ごはんはそちらで調達してみては如何でしょうか?」
「調達ってあんた……。ハンターじゃないんだから」
たまに、いや結構、山田の使う日本語は変だよな。よく、ここにこれたな、こいつ。
「……駄目、ですか?」
上目遣いで、不安そうに袖を引かれる。
「いや、ダメじゃない。コンビニね、了解」
「わぁい! 決まりですね!」
たかがコンビニなのに、彼女はとても嬉しそうに笑った。
そんなにコンビニに行ってみたかったのだろうか? だとしたら、今までの滞在期間中に行けば良かったのに……。
本当に分かんないなぁ、山田は。
――ん? いや、違うか。
そもそも、同じ人間同士だって、他の人が本当は何を考えているかなんて俺には分からないんだから。




