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5話―02
「私がアマルテアに帰るまで、あと三日もないんですよ……? 少しでも長く、一緒に時間を共有したいと思うのは、私だけなんですか……?」
――ずるい。
そんな風に女の子から言われて『うん、君だけだよ。自過剰なんじゃない?』っていう男が何処の国いるって言うんだ。いや、何処の星にもいないんじゃないかな。
「そんな事ないよ。俺だって……」
俺だってもう少し……。
「もう少し山田を観察してたいよ」
ん?
「観察……ですか?」
「え? いや、その……」
観察って何だよ、俺! 絶滅危惧種の生き物じゃないんだから!
「うん、まぁ、つまり……じっくり見ていたい、的な?」
謎のバンドマンみたいな口調になってしまった。
「じっくり……」
山田は自分の両頬を包み込むようにして俯いた。耳まで真っ赤になっている。
「伊藤さんの変態的な気持ちは、よく分かりました!」
「変態的ってつけるな! 観察って言った俺が悪かったから!」
「ふふ、それではお話は元に戻りますが」
さっきまでの涙が嘘のように、山田はいたずらっぽく微笑んだ。
……確信犯だ。
騙されたと分かっていても、至近距離で見せられたその笑顔に、不覚にも胸がキュンと跳ねてしまった。




