4話―10
「あとですね! 電源を入れると『ピョコッ♪』と可愛い音がするんですよ~!」
「…………」
なんの違いもないように見えるけど、俺の知りえない機械について山田は話している。
マジで宇宙人なのかな。
「伊藤さん?」
「え、あ、何?」
「聴いていますか?」
目の前に少し怒った彼女の顔があった。
「……うん、多分」
「多分だなんて失礼です」
「うん、ごめん?」
「えっ…いえ、いえいえいえい!」
最後"イエイ!"って言った?!
謎だ……。
「伊藤さんが謝るだなんて……明日、槍が降ってきそうなのでやめて下さいよ」
「ほぉ」
お前は俺をなんだと思ってんだ。
「とにかく……!」
「とにかく?」
「……何でしたっけ?」
「知るかよ」
「何を言いたいのか忘れてしまいましたので、代わりに『イチゴジャム』について話しませんか?」
どんな会話のジャンプ力だよ!? イチゴジャムの要素どこから湧いて出た!?
「意味分かんねぇ!」
「うぅ……伊藤さんに理不尽に怒られました……」
山田は借りてきた猫のように、炬燵の隅っこでショボーンと小さくなってしまった。
……はぁ。本当に、いちいち面倒くさい奴だな。
「……山田」
「はい……」
返事はしたものの顔を上げない。
「ジャムじゃなくて、苺の『種類』についてなら、話に乗ってやってもいいぞ」
山田だってそんなに知らんだろう。とりあえず、俺は山田の意向に沿った。
これでしょぼんでも俺は悪くない筈だ。
嫌な事に保身を図る俺。
「本当ですか?!」
ガタッと炬燵が揺れるほどの勢いで、山田が顔を上げた。目が爛々と輝いている。
「お、おう……」
「わ~い! では、アマルテアで人気の『ルビー・ストロベリー』と地球の『紅ほっぺ』の糖度の違いについて議論しましょう!」
「糖度の違い?!」
結局、熱く語る山田を黙って見守る事に……。
なんだよ、糖度の違いについて議論とか……。
山田だけがこんなのなのか、それともアマルテア星人は皆こんなのなのか……。
後者だとぞっとするな。
俺はこの事を考えないようにする事にした。
4話も終わりました。
山田が宇宙人らしいと思い始める伊藤さん。
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