4話―09
「ここまでの薄型で、液晶を触るタイプの通信機はありません。小型の電話機は耳に付ける物が主流です。他には鞄に付けれるタイプもありますが、『時刻表示機能』なんてついていませんよ?」
「え、時計ついてないの? 不便じゃん」
「代わりとは言ってはなんですが、警報や注意報などはそれに通知されるようになっています」
「土砂災害とかはこっちも通知くるよ。ま、大雨とかは通知来ないけど」
この違いは何なのかな?
「そうなんですね。私の所はきますよ」
良いね〜。市役所からの放送は何言ってるのか分からない事多いんだよなぁ。
「因みに、宇宙船からの迎えの通知も、入りますよ」
山田はそう言って、どこか寂しそうに微笑みながらスマホを俺に返した。
――いつか、本当に帰ってしまうのだろうか。
「……あのさ」
ふと気になって、俺は少しシリアスになった空気を変えるように尋ねた。
「耳につける大きさの通信機なら、どうやって通知を受け取るんだ?」
「カン、ポン♪ってお知らせが流れるんです」
カン、ポン?!
間の抜けた通知音だな?!
「メールとかはどうやって送るんだよ」
「メールとは、先ほどのように文字を打ち込む作業のことで宜しいでしょうか?」
「作業って……まぁ、間違ってはないけどさ」
「それはですね、ええと……あっ! 地球でいう『パソコン』を使います! この前、大学のパソコン室に置いてあるのを盗み見ました!」
いつの間にパソコン室に忍び込んでたんだ。
しかも、自分で盗み見たって言ってるよ。
「アマルテアのパソコンは球体型で可愛いんですが、機能は大体同じだと思います。丸い本体に、こう……四十五度の角度でL字型の空間が設けられていまして、球体の文字盤をゴロゴロと回して文字を入力するんです」
想像してみたが、絶対にタイピングしづらそうだ。しかも無駄にデカそう。
「……あの、説明が下手ですみません」
俺の微妙な表情を察したのか、山田が眉を下げて縮こまる。
「いや、大体わかった気がする。サンキュー」
「本当ですか! 良かったです!」
パッと一瞬で花が咲いたように笑う山田。
……なんだろうな。話している内容は突飛だけど、こうして一喜一憂している姿は、大学のキャンパスで見かける普通の女子大生と何の違いもない。




