4話―05
「おばあさまが何を話しているのか、一文字も分かりませんでした! 今の『ほやがいね』とはどういう意味ですか!?」
なんでそんなに嬉しそうなんだよ。
「んと……『そうでしょ?』とか、相手に同意を求めたり共感したりする時に使う言葉かな。何気なく使ってるから説明しづらいけど」
「なるほど! つまり先ほどのは『そうでしょ? いいえ、そうでしょう?』とおばあさまは言ったわけですね!」
自信満々にメモに書き込む山田。
いや、それだとただのしつこい人だろ。
「いや、ちがっ――」
「しっ! おばあさまはまだお話中です!」
さっきのはあれで良いのか?!
「なもいね〜まだ20歳前やぞいね〜」
20歳前って俺の事じゃないだろうな。
ちなみに"なもいね"は"そんなことないよ"という意味だ。
「……今のは『なもいさん、まだ20歳前です』という自己紹介ですね?」
「なもいさん?! 誰だよ!?」
新キャラを捏造するな!
「なもや。おおん。そんならまた何かあったら電話しまっし」
そう言って、おばあちゃんは満足そうに受話器を置いた。
"電話しまっし"は"電話しなさいね"という意味。
ってか、いつまで山田はメモとってんだろ?
「……『名古屋も恩。そしたらまた何かあったら電話したら?』……完璧です!」
真顔でとんでもない呪文をブツブツと唱える山田。
駄目だ、笑いがこみ上げてお腹が痛い。
「あのさ、山田。全然違うから。まず最初のなもいさんって――」
「えっ、なもいさん間違いですか!?」
「ぷっ……くくく! あ〜駄目、お腹痛い、笑える……っ!」
「そ、そんなに私の翻訳はおかしいですか!?」
山田は頬をふくらませて不服そうだ。




