4話―02
「あはは、伊藤くんは相変わらずいじられ役だね。で、宇宙人って聞こえたけど?」
坂本さんは宇宙に興味があるのか、空いた椅子を引く。
「坂本先輩は宇宙人がいると思いますか?」
そもそも、宇宙人を信じてる人はどれくらいいるんだ?
「伊藤くん、我々も宇宙から見たら、宇宙人なのだよ」
坂本さんは、目を細めて遠くを見てる。
……聞く人を間違えたな。
坂本さんはバンドで歌詞担当らしい。
ちょっと、頭の中もポエミーなんだろうな。
「話がずれたが、明が変態だって話を再開しようか」
「いやいやいや!そんな話してなかったから」
「冗談だよ、冗談」
「あっはは。北村くんと伊藤くんは良いコンビって感じだね」
「いえいえ、坂本さん。面白いのは会話じゃなくて明なんですよ」
おい、こら。
「確かに、伊藤ちゃんそのものが、笑えるよね〜」
長戸は北村より酷い事を言ってないか……?
「坂本さんも明と話してみると良いですよ。良いネタが出来るかも知れませんよ」
ネタって……。
「マシで〜」
坂本さんもノラない。
「でも伊藤くんってあんまり喋らないじゃん?だから何を言って良いのか分からないんだよね〜」
サラッと酷い事言ってないか、この人。
「確かに伊藤ちゃんはおしゃべりじゃないけど、何を言っても大丈夫だよ」
「そうだな」
何、その共通の認識。
「成る程〜」
しかもなんか納得された!
「じゃあさ、誰の曲が好き? ○崎? 桑○?」
二択なのか?!
えぇ〜どっちがより好きか……。
「……今のは駄目ぽいよ?」
坂本さんが長戸を見る。
「そうだね〜。それにほら"何を聞いても"じゃなけくて"何を言っても"って言ったじゃ〜ん」
「それは俺に対して酷くないか?」
「気のせいだろ」
北村の即答が痛い。
「あ〜、なる」
「何を納得したの?!」
坂本さん!
「何ての?伊藤くんとのやり取りを習得したみたいな?」
……こうして俺の扱いがぞんざいになっていくのか……。
「あ、そういやさぁ、今度のデモテープ聴いた?」
坂本さんがポケットからスマホを取り出し、長戸のほうを向いた。
……本当にこの人、マイペースだな。
「明。少しは気が楽になったか?」
「ん?」
隣の北村が、眼鏡の奥の目を少し和らげて俺を見ていた。
「さっきより顔色がマシになったからな。お前のことだ、どうせくだらないことで悩んでいたんだろう」
「……べつに。でも、まぁ」
「ならいい」
何、微笑んでるんだよ!
くそう、北村には敵わない。
あいつらのおかげで少し元気が出たけど、負けた気になるから、絶対言ってやらない。




