4話―変なのは……?
「行ってきます」
「行ってらっしゃいませ」
……どうなんだよ、これ。
山田に見送られて学校に行くとか。
「はぁ」
自転車に乗って車庫から出た。
振り向くと山田は笑顔で手を振っている。
……大丈夫かな。
何が大丈夫かって、山田を家に置いていく事が だ。
今日から山田は、母さんの勤め先の美容院でバイトをすることになっている。
「『社会見学の為、学校をお休みします』って、お前そもそも俺の大学の生徒じゃないだろ……」
怪しさ満点の宇宙人を置いてきた我が家。
家に帰ったら、家が消滅してクレーターになっていたらどうしよう。
そんな不安を抱えたまま、無情にも大学の講義は始まり、お昼休みを迎えた。
「明。顔が死んでるぞ」
うぅ〜北村ぁ。
俺は休憩時間に気の合う仲間、その二に手を伸ばした。
「伊藤ちゃん、今日は変なんだよ」
その一は自分の服の袖を伸ばして欠伸をした。
「誰にだって変になりたい日だってあるものさ」
……それはフォローなのか?
「冗談はさておき、何があったんだ?」
北村は眼鏡を中指で押し上げた。
「あのさ、家にとある人を置いてきたんだ…」
「それは幼子なのか?」
幼子って普通言うか?
「えっ、何!? 伊藤ちゃんいつの間にパパになったの!?」
長戸が目をキラキラさせて身を乗り出してきた。
「違うって! 自称、宇宙人が……いや、可愛い女の子が急に押しかけてきたんだよ!」
「うん。それ、立派な事案(犯罪)だな」
北村が冷ややかに眼鏡のブリッジを押し上げる。
「違う、向こうが勝手についてきたんだ!」
「なるほど。つまり、伊藤ちゃんは拉致監禁をしていると……」
「二人とも俺を犯罪者にするな!」
「何々? さっきから面白そうな話してんじゃん?」
上から降ってきた声に振り向くと、長戸のバンド仲間である坂本さんが立っていた。
ちょっとけだるい雰囲気の先輩だ。
「あ、坂本さん。ちょうどいいところに。今、明が変態だという現行犯逮捕の件について話し合っていたところです」
「いやいやいや! そんな物騒な話してないから!」




