3話―13
「あ、あの」
抱きつかれて山田は困惑してる。
そりゃまぁ、そうだろうな。
微笑ましいと言わんばかりの顔で、父さんがそんな二人を見つめている。
言っとくけど、貴方の妻が抱きしめてるアレ、異星人ですよ。
「混じりたいの?」
「どうしてそうなる?」
この弟はなんて事を言うのだ。
「いや、そんな顔してたから、てっきり」
どんな顔してたんだ、俺。
「まぁ、俺、風呂入って来るわ」
「ん~」
克己にそう告げ、俺は着替えを手に風呂場に向かった。
あ~、首痛いなぁ。早く治らないかなぁ。
ガチャッ
コントクトを外して風呂場に入った。
風呂場は湯気で真っ白だった。
コンタクト外したから尚、視界がボケて真っ白に見える。ような気がする。
ん? なんか鏡に落書きしてある。
曇った鏡に何かが浮かんで見える。
「虫義十匹でございます…? あっ違うな、蟻か」
……“ありがとうございます”だな、これは。
「ははっ。それにしても“蟻十匹でございます”はないだろ」
中々捻ってあってユニークだな。流石山田。
は~あ。なんだかなぁ。
地球人じゃないからかな? 山田って見てて飽きない。
だから、もう少しだけ見ていたい気分になる。
どうせ、あと五日しかいないんだろ? だったら、このままいっそあと五日間この家にいれば良い。
……な~んてね。嘘だよ。嘘。
「ブクブクブク」
ザブンッ
いや、本心だけどね。
だけど、一緒にいちゃいけない気もする。
なんて相反する相対の気持ち。
人間って面倒だね。異星人の山田にはこんな感情ないのかな?
そう思うとなんだか羨ましく思えた。




