3話―06
山田はニコニコとしている。
「いや、別に…」
褒めた訳ではなのだけど。
「日本に来て三週間、誰にも相手をされず、好きで来た筈なのに、実は早く帰りたくて帰りたくて仕方なかったんです」
えへへと山田は苦笑いを浮かべた。
「アメリカではこんな感じでも皆さん親切だったんですが、日本では駄目ですね。とても不審者扱いでした」
多分、断言出来ないけど、アメリカでは残念な子だから、労わってあげよう的な扱いだったんじゃないかな。
こっちは…基本優しいけど、自分の領域を脅かすだろう因子にはとことん厳しい気がする。
だから、あからさまに怪しい山田は論外なのだろう。
俺の家族だって、山田と俺が前からの知り合いだと思っているから優しくしてるんだと思う。
きっと、出会い方を説明していたら警察を呼んだんじゃないかな。
今はあんなに山田に優しい俺の母親が。
「ですので、本当にありがとうございます。伊藤さんに出会えて良かったです」
……三週間、知らない土地で誰にも相手されず、野宿か……。
山田はなんで星に帰らなかったんだろう?
“好きで来た“って言ってたし、意地があったからか?
「お礼がしたいので、私にできる事ならなんでも言って下さいね。なんでもしますから」
笑顔で両手で拳を握って、応援するみたいなポーズをとる。
……山田ってこんな可愛いキャラだっけ? この子電波じゃなかったっけ?
「あ~…うん。何か思いついたら言うわ」
「はい!」
やべぇ。何、この可愛い生き物。
昨日とは違う意味で調子狂う! 出会った時はかなり変だったじゃん。
なんでこんな可愛い事を言うんだよ!
隣の山田はニコニコしていて、周りの目は温かい。




