3話―02
チラ、チラと山田を振り返り見てる生徒がいる。
その気持ち分かる。
怪しすぎだろ。
やっと山田の目が、俺の細めた目と合った。
「(おい、山田! そのポーズやめろ! 目立ちすぎだろうが!)」
ジェスチャーでそう伝えると、彼女は「分かっています、伊藤さん。完璧な擬態です」と言わんばかりに、さらに深く足をクロスさせた。
こうなったら無視だ、無視。
宇宙人とは分かりあえん。
「伊藤ちゃん聞いてる?」
しまった!山田に気をとられ過ぎてた!
「聞いてる、聞いてる。後でな」
「サンキュー」
そう言うと長戸はパンを物色し始めた。
今の隙に……。
変なポーズを崩さない山田にそっと近づく。
怪しすぎて、コイツの周りだけ人はけてるじゃねぇか。
「ちょっと」
「(話しかけるなって言ったのは伊藤さんじゃないですか)」
意外と、まともなジェスチャーじゃねぇか。
「目立つから止めろ」
何故か目を丸くする山田。
「え? 目立つんですか? 人を待つ時にこのポーズしませんか?」
しねぇよ!!
「次、やったら、即、星に帰れよ」
ビシッと指を差し言うと、ビシッと敬礼する山田。
ほんと、目立つ事しかしねぇな!
ふんっと、長戸の方に向かうと、長戸は山田の方を見ていた。
ヤバいな。
山田とのやり取り、見られたかな?
ちょっと、いや、かなりあんなのと知り合いだとか思われるのは癪に触る。
「知り合いなん?」
バッチリ見られてるじゃねぇか!
「……いや、変なポーズだなと思って」
苦しいかな?!
「ふーん?ま、パン買ったし、外で食べようか」
「そうしようぜ」
長戸の背中を押して、急いで購買から離れる。
外にはベンチが置いてあるヶ所が三つあり、一番近くの所へと移動した。
振り返ると、山田は母さんが作ってくれた弁当が入っている鞄を大事そうに両手で抱えて、しっかりと付いて来ていた。
さっきの一件がなければ、普通に可愛いのに。
……あっ、気づいた。
「夷藤ちゃんなんで笑ってるの?」
「笑ってねぇし」
「ふ~ん?あっ!あそこ空いてるし、あそこにしよっ」
「走ると危ないぞ~」
ま、言っても無駄か。
何気なくもう一度振り向くと、また山田は笑顔で小さく手を振った。
その様子に少しだけ、そう、ほんの少しだけ心が和んだ。




