3話―あいたいの気持ち
大学と言う所は誰でも出入りができる。
同じような年齢なら尚、怪しまれない。
そんな訳で、昨日出会った自称宇宙人の山田は、俺の大学で普通に講義を一緒に受けている。
流石に、隣とか親しげだと友人に怪しまれるから、山田には接触してこないよう言ってある。
チラッと彼女を見ると、真剣に教授の方を向きノートを取っている。
講義中意識が逸れる俺より真剣かも。
俺も真面目にノート取ろ。
……講義を真面目に聞いていると時間の経つのが長く感じるなぁ。
まだ終わらないのかよ。
チラ見した山田は相変わらず不動の姿勢。
一度くらい目が合っても良さそうなもんだが、あいつの『地球人ごっこ』は完璧すぎんか?
もう調査しに来たって言うより、単位取りにきたみたいに見えるわ。
◇
「伊藤ちゃん、昼飯どうするよ?」
講義後、長戸が頭に手を回して背伸びした。
長戸とは取っている講義が殆ど同じで、一緒にいる事が多い。
物凄く女顔なんだけど、それを言うとすっごく怒る。背も低く、一六三センチしかない。
「俺、今日は弁当なんだよね」
「良いな~伊藤ちゃんのお母さん。優しいもんな~うちのクソババアとは大違い」
彼は肩をくすめて、席を立った。
「で、どっちにするんだ?」
弁当がなければ購買で何か買うか、食堂で何かを食べるかと言う二択になる(俺らの場合コンビニとかは遠いので選択肢に入らない)。
「そうだな~購買にしよっかな」
「おっけ」
俺らは購買に向かって歩き出した。
少し後ろに視線を向けると山田が一定の距離を空けてちゃんと付いて来ていた。
接触するなとは言ってあるけど、離れるなとも言ってある。そうじゃないと山田は迷子になりそうだ。
「伊藤ちゃんさ~次の講義の課題やって来た?」
「当然」
課題は出た日に終わらせる。
「だよね~…俺さ~分かんない所あるんだけど、後で教えてくれない?」
え~、教授に聞く方が正確だし、教授に聞いてよ。
購買に入ると沢山の人で込み合っていた。
こんな所に山田入って大丈夫かな?迷子にならなければ良いけど。
振り向くと、購買の入り口付近で、右手を額に当て、その右肘を左手でがっしり支え、視線を斜め上四十五度に固定したまま、足を交互にクロスさせている山田が。
……あいつ何してんだ?




