2話―12
「昨夜は駅の近くで過ごしました。駅員さんに捕まりそうになりましたが、そこを凌いでなんとか夜を明かしました」
なんで誇らしげな顔してんだよ。
「今日はどうするの?」
母さんが問う。
「あの、大変申し上げにくいのですが……」
彼女は俯いた。
きっと、普通じゃない何処かの部屋を貸して欲しいって言うんだろうな。
「車庫をお借り出来たら嬉しいのですが……」
やっぱりな!
俺以外は予想外の返答に様々な事を言っている。
俺はそれを右から左へと聞き流す。
「それだとこっちが捕まるよ……」
父さん、見つからなければ大丈夫だと思うよ?
「泊まっていけば良いわよ」
何?!
「いえいえ、そこまでして頂く訳にはいきません」
山田の方が常識的な事言ってる気がする。
「そうしなさい。女の子一人をほおってはおけないよ」
父さん!
「ほうや、泊まっていきまっし」
ばあちゃんまで……。
「ご迷惑ではありませんか?」
迷惑だよ。
だけど俺一人だけ反対する訳には……。
「そんな事はないわよ!」
あぁ、母さん……。
「そうだよ」
父さん……。
目の前のその人は自称宇宙人なんですが……。
「うん、山田さんさえ良ければ泊まっていったら良いよ」
克己もばあちゃんも笑顔だ……。
「それではお言葉に甘えてそうさせて頂きます」
あぁ、もう……どうにでもしてくれ。
この和やかな雰囲気を一人ぶち壊せる筈もなく、俺は黙って夕食の鮭を口に運んだ。
こうなったら何がなんても、山田と初対面だとバレないようにしよう。
俺はそう胸に誓った。




