2話―08
「花子ちゃんは日本には留学に来たの?」
花子ちゃんって……。俺、笑いそう。
「そんなとこですかね?」
山田は首を傾げて俺を見た。
「日本について勉強しに来たんだって」
「そうなの〜凄いわねぇ。日本にはどれくらい居るの?」
「期間は一ヶ月なんでが、あと残り一週間となりました」
へ〜そうなんだ。
「あら、短いのね。日本の特にコレを勉強しにとかあるの?」
「はい、文化や歴史、今の流行について調べています」
……それを知るにあたり、好きな異性は関係ないないんじゃないか?
「難しい事を勉強しているのね〜」
「いえ、興味のあるものなので楽しいです」
ふ〜ん、本音かな?笑顔で言ってるし。
「しっかりしてるのね〜。明も見習って欲しいわ」
えっ、山田を見習ったら大変な事になると思うけど。
「花子ちゃん、色々と大変だと思うから、明でよければ使ってね」
ちょ、やめてよ!そんな冗談にもならない事を言うのは!
「良いんですか!」
山田め……良い顔しやがって。
「今、お菓子持ってくるから待っててね」
母さんはそう言うと部屋から出て行った。
「伊藤さんのお母さんは良い人です!」
彼女は両手を握り締めて、母さんが出て行った扉に熱い視線を送っている。
「伊藤さんを良いように使って良いと言って下さいましたよ!」
ん?
ちょっとそれはニュアンスが違くないか?
「お菓子持って来たわよ〜」
今度はノックなしかよ。
すっかり気に入ってんな、こりゃ。
「花子ちゃん、好きなだけ食べてね」
母さんはそう言って、甘い菓子の入ったお盆をテーブルの上に置いた。
「わぁ!良いんですか〜」
山田は目を輝かせている。
「勿論よ。それではごゆっくり〜」
母さんは山田に手を振って隣の台所へと姿を見てを消した。
「伊藤さんのお母さんは本当に良いお方ですね」
お方?! 人からお方にランクアップしたのか?!
「ん〜、おいひい〜」
山田はチョコを食べながら既に他の菓子を手にしている。
本当に好きなだけ食べるつもりなのかな。
流石、山田だな。
いや、でも本当になんなんだろう。
俺は山田を見た。
彼女は菓子しか眼中にないのか、俺の視線に気が付かず、幸せそうな顔で菓子を頬張っている。
……ほんと、こいつ、いつになったら帰るんだろう。




