2話 不用心な一家だなぁ
「ただいま…」
気が重たい。
こんなに気が重たいのは、中学三年の模擬試験でE判定をくらった時以来かも知れない。
その元凶は、玄関で丸い目を更に丸くして、辺りをキョロキョロしている。
「……絵が飾ってあります」
「あぁ、地元の作家さんのらしいよ」
絵なんかに興味あるのか、意外だな。
「伊藤さんって意外と不用心なんですね」
……。
「今日初めてお会いしたのに家に上げるだなんて……」
「……よし、山田ぁ」
「あ、はい」
飾ってある絵から俺へと彼女は視線を変えた。
「ゴーアウト」
「急に英語ですか?発音はイマイチですが、ここで帰るの方が変なので、突っ込まないでおきます」
いや、突っ込んでるだろ!
ったく。それに、お前以上に変なモノなんてないから安心して帰れ、星に。
「あのなぁ……」
「明は何を玄関で騒いどる。やかましい」
「ばあちゃん……」
つい大きな声を出してしまったので、台所からばあちゃんが……。
「お客さんかいね。そんな所におらんと上がんまっし」
「すみません、失礼します」
あぁ、上がっちゃうのね。遠慮して帰るとかないのね。
ま、山田だしそうなるよね……。
……はぁ、原因は俺にあるとして、俺が迷惑してる事を知らせるサインでもばあちゃんと、決めておけば良かった。
こうなったら山田の要求にさっさと応えて、さっさと帰ってもらおう。




