第46話 ゴリオンズ
ドウギ山の奥深く。
巨大な岩山を利用して築かれた集落――ゴリオンズのアジト。
木々の間を猿たちが軽やかに飛び回り、岩肌には見張りが立っている。
その数は百を超えるだろう。
まさに一つの国だった。
「へぇ~……」
アキュラは辺りを見渡しながら感心する。
「意外とあっさり入れてくれるんだな。」
先を歩くアクセルが笑う。
「ゲッコウの親分から話は聞いてるからな。」
隣のスラッシュも続ける。
「じゃなきゃ山の入口で追い返してる。」
「なるほどねぇ。」
アキュラは素直に頷く。
「こっちだ。」
二匹に案内され、一行は岩山を登っていく。
頂上。
一際大きな岩の上。
そこに、一匹の巨大な猿が座っていた。
「……。」
思わず全員が足を止める。
「で……」
「デカい!!」
アキュラの声が山に響いた。
筋骨隆々。
肩幅は熊のように広く、腕は丸太のように太い。
猿というより、もはやゴリラ。
その圧倒的な存在感にレオも思わず息を呑む。
すると巨大な猿はニッと笑った。
「おう、猫たち。」
「よく来たな!」
その笑顔は意外にも人懐っこい。
「俺がゴリオだ。」
「一応、この山のボスってことになってる。」
「……でしょうねぇ。」
アキュラが思わず漏らす。
「そりゃ、それだけの体格してたら……。」
「ガッハッハッ!」
豪快な笑い声が響く。
「おい小僧。」
ゴリオはアキュラを指差す。
「猿だけど、ゴリラみたいだろ?」
「ま……まぁ。」
「だから昔っからゴリオなんて呼ばれてよ。」
「そのままチーム名までゴリオンズにしちまった。」
「でしょうねぇ……。」
アキュラは苦笑い。
ゾロが腹を抱えて笑う。
「ガハハハ!」
「こいつぁ頼もしいなぁ!」
しかし。
ゴリオの笑みがふっと消えた。
「……まだ。」
「手伝うとは言ってねぇがな。」
空気が変わる。
「……へっ?」
ゾロが目を丸くする。
「話ついてたんじゃないの?」
アキュラも首を傾げた。
ゴリオは静かに首を振る。
「ゲッコウに頼まれたのはな。」
「まず、お前たちと話をしてみてくれ。」
「それだけだ。」
「そおなのぉ~……。」
ゾロは肩を落とした。
「期待して来たのになぁ。」
タカウジは苦笑する。
「お前らしいな。」
ゴリオはゆっくり立ち上がる。
岩が軋む。
その巨体から放たれる威圧感に、場の空気が一変した。
「まず俺から聞きたい。」
静かな声。
だが重い。
「お前たちは――」
「なぜ戦う?」
誰も答えない。
さらに問いが続く。
「何のために戦う?」
風が吹く。
誰一人、口を開けない。
ゴリオは鋭い目で六匹を見渡した。
「返答次第では――」
「このまま帰ってもらう。」
笑顔はない。
そこにいるのは、一つの軍団を束ねる真の長だった。
ゾロたちは静かに息をのむ。
自分たちの覚悟が、今まさに試されようとしていた――。




