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まさか!うちのニャンコが?!―伝説を継ぐ者たち―  作者: トネガワ ワタル


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第34話 誇りの行方

 夜風。


 木々が揺れる。


 タカウジ。


 ハゲタカ。


 戦いは続いていた。


 激突。


 回避。


 反撃。


 爪。


 牙。


 羽。


 一進一退。


 当たりそうで当たらない。


 だが。


 確実に。


 互いの傷だけが増えていく。


「シノ」


 ハゲタカが言う。


「お前も手ぇ出すな」


 残っていた最後の部下。


 黒い雌ガラス。


「分かってるわよ」


「安全なとこで見てるわ」


 木へ飛ぶ。


「あいつ……女だったのかよ」


 アキュラ。


「子分の中じゃ飛びぬけて強かったぞ、あいつ」


 ポンズが警戒した目で言う。


 その横で。


 猫たち。


 シノ。


 全員が見守る。


 本物同士の戦いを。


 続く一進一退の攻防。



 闘いの最中


 ハゲタカが笑った。


「フッ……」


「やっぱ戦いはこうでなきゃいけねぇ」


 鋭い目。


「久しぶりに気持ちが昂るぞ」


「タカウジ」


 タカウジも笑う。


「まあな」


「でも――」


 一瞬。


 空を見る。


「俺は戦いのねぇ世界のほうが好きだがな」


 その言葉。


 ハゲタカの動きが止まる。


「……そうか」


 何かを考える。


 静かに。


 そして。


「お前と戦って――」


「考えが変わった」


 猫たちがざわつく。


「俺はクロウズを抜ける」


「!?」


 シノが目を見開く。


 アキュラも驚く。


「えぇ!?」


「そんな会社辞めますみたいなノリで!?」


「うるせぇぞ八」


 ポンズのツッコミ。


 タカウジは真顔。


「……許されるのか?」


 ハゲタカ。


「許すも許さねぇも関係ねぇ」


「俺が決める事に」


「黒牙は関係ねぇ」


 その言葉には。


 強い意志があった。


「これからどうするつもりだ?」


「決めちゃいねぇが――」


「この地からは少し離れねぇとな」


 静かな返答。


 だが。


 タカウジは問う。


「子分たちをやった俺たちを」


「許すのか?」


「……いや」


 その瞬間。


 ガサッ。


 倒れていたカラスたち。


 ゆっくりと。


 起き上がる。


「なっ!?」


 猫たちが驚く。


 傷だらけ。


 満身創痍。


 だが。


 生きている。


「ずいぶんやられちまったみてぇだが」


「これで死ぬような奴らじゃねぇんだ」


 ハゲタカ。


 誇らしげだった。


 シノが苦笑する。


「ホント馬鹿ばっかよ」


 ハゲタカは猫たちを見る。


「見ると」


「まだまだ未熟な連中が多そうだ」


 若い猫たち。


 ハリー。


 アキュラ。


 モン。


 チッチ。


 悔しそうな顔。


「素質はありそうだが」


「今のままじゃ勝てねぇ」


「黒牙にはな」


 空気が重くなる。


「まぁ――」


「お前とゾロは別として、の話だが」


 タカウジは鼻で笑う。


「言ってくれるじゃねぇか」


 そして。


 ハゲタカが最後に言う。


「一つ――」


「教えといてやろう」


 猫たちの視線が集まる。


「黒牙とコールディーも」


「お前らみてぇな」


「不思議な力を持っている」


 ざわめき。


「それを奴らは――」


「“カーズ”と呼んでいる」


「カーズ……」


 シロが呟く。


「俺も詳しくは知らねぇ」


「だが――」


「間違いなく危険だ」


 緊張。


 その時。


 離れた場所から。


 ゾロの声。


「ハゲタカちゃん」


「ありがとな」


 皆が振り向く。


 ナナを横に寝かせたゾロ。


「次会う時は」


「敵じゃないって信じてるよ」


 ハゲタカ。


 一瞬だけ笑う。


「ああ」


「シノ」


「お前ら行くぞ」


 羽が広がる。


 傷ついたカラスたちも飛び立つ。


 夜空へ。


 去っていく。


 静寂。


 残された猫たち。


「……俺」


 ハリー。


「全然届かなかった……」


 拳を握る。


 ポンズが言う。


「だから鍛えるんだ」


「強くなるしかねぇ」


 ゲン太も笑う。


「まだまだ修行不足だな」


「次はぶっ飛ばしてやるぜ」


 ギンジ。


「ビビって終わるな」


「怖ぇ相手と戦って」


「初めて強くなれる」


 若い猫たち。


 悔しさ。


 無力感。


 そして。


 新しい決意。


 皆の視線が。


 一匹へ向く。


 ナナ。


 静かに眠っている。


 目を覚まさない。


 夜風だけが。


 静かに吹いていた。




 その頃。


「うぅ・・・」。


「クソっ・・・」


 墜落したチャチャ。


 大怪我をしながらも生き残っている。


「なんで俺がこんな目に・・・」


 怒りと恨み。


 さらに募らせた者。


「このままじゃ済まさねぇ・・・」


 血を流しながら。


 闇の中へ消えていく。


 

 誇りを見つけた者。


 新たな決意を抱いた者。


 そして――


 憎しみに囚われた者。


 それぞれの思いが交錯する中。


 ハグサ山を巡る戦いは。


 まだ終わらない。


 むしろ――


 ここからが本当の始まりだった。

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