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まさか!うちのニャンコが?!―伝説を継ぐ者たち―  作者: トネガワ ワタル


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第28話 揺れる絆

 夜が明けた。


 ハグサ山。


 戦いの余韻が、まだ空気に残っている。


 静かな朝。


 だが――


 確実に何かが変わっていた。



 ゾロの前。


 並ぶ四匹。


 ハリー。


 ナナ。


 アキュラ。


 ユキ。


 そして――ポンズ。


「改めて紹介しよう」


 チュウジの声。


「こやつも……同じ血じゃ」


 ポンズが一歩前に出る。


 少し照れくさそうに。


「……よろしくな、兄弟たち」


「え、マジで!?」


 アキュラが飛びつく。


「もう一人いたの!?」


 チュウジが続ける。


「ポンズはな」


「じーちゃんばーちゃんの元から直接、里子に出された」


「だが――」


「血が騒いだ」


「逃げ出し、ここへ辿り着いたのじゃ」


 ポンズは頭をかく。


「まあ……そんな感じだ」


「で、ユキも――」


 チュウジが視線を向ける。


「一度ウラオまで行き、里子に出された」


 ユキ。


 静かに頷く。


「私も……一緒にいた」


「少しだけ同じ家に行った」


 ナナの目が揺れる。


 ハリーも。


 アキュラも。


 断片。


 記憶の奥。


 小さなぬくもり。


「……なんか」


 ハリー。


「いた気がする」


「……うん」


 ナナも小さく。


「気のせいじゃねぇってことか!」


 アキュラが笑う。


 だがその奥に――


 確かな繋がりが生まれていた。



 その日。


 訓練は中止。


「今日は休め」


 チュウジの言葉。


 そして――


 初めて見る昼の顔。


 ハグサ山。


 別名――“猫山”。


 観光客。


 笑い声。


 差し出される餌。


 撫でる手。


「うわ……」


 アキュラ。


「なんだこれ」


「戦士の顔、消えてますね」


 シロが静かに言う。


 猫たちは――


 甘える。


 鳴く。


 転がる。


 完全に“可愛い猫”だった。



 その時。


「……あれ」


 ハリーが止まる。


 視線の先。


 ――とーちゃん。


 ――かーちゃん。


 いる。


 本当に。


 少し痩せた顔。


 不安そうな目。


「……来てる」


 ナナの声が震える。


 アキュラの尻尾が揺れる。


 本能。


 走り出したい。


 甘えたい。


 抱きつきたい。


 喉が――


 鳴る。


 ゴロ……


 ゴロ……


「……ダメ」


 ナナが言う。


 自分に言い聞かせるように。


「戻りたい」


「でも……今じゃない」


 ハリーが歯を食いしばる。


 アキュラは一歩前に出かけて――止まる。


「目的がある」


 ナナ。


 まっすぐ前を見る。


「終わらせるまで」


「我慢する」


「……とーちゃん」


 ハリー。


「……かーちゃん」


 アキュラ。


「ごめん」


 ナナ。


「信じて待ってて」


 三匹。


 背を向ける。


 涙は――見せない。




 一方。


 山の外れ。


 走る影。


 チャチャ。


 そして――子分三匹。


「やっと抜けたな」


「くだらねぇ場所だったぜ」


 振り返らない。


「人間守る?」


「笑わせんな」


 走る。


 ただ前へ。


「ウキリ区行くぞ」


 チャチャの声。


 もう戻らない。


 その決断。


 だが――



 風が変わる。


 上空。


 黒い影。


 バサッ……


 降り立つ。


 数羽。


 そして――


 一際大きい影。


「……止まれ」


 低い声。


 チャチャたちが足を止める。


「カラス……かよ」


 舌打ち。


 だが。


 違う。


 圧が。


 違う。


「ハゲタカ様だぞ」


 子分の一羽が囁く。


 チャチャの目が細くなる。


 空気が張り詰める。



 猫とカラス。


 新たな接触。


 そして――


 それぞれの思惑。


 静かに。


 だが確実に。


 戦いは広がっていく。

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