第23話 ハチ公の覚悟
「罪とはな」
チュウジの声。
「背負った者ほど」
「自ら沈むものじゃ」
ハグサ山。
救出隊を送り出したチュウジ達。
「わしらは東の祠へ避難する」
「あそこなら水も食料もある」
移動。
列。
誰もが不安を抱えている。
その中で――
ハチ公だけが、別の重さを背負っていた。
そして。
誰にも気づかれず。
列から外れる。
森の中へ。
祠に着く。
まずは安堵。
だが。
「ハチ公はどこだ」
沈黙。
視線が交わる。
誰も答えられない。
「まさか……」
ギンジの目が細くなる。
「責任感じて――戻ったか」
空気が張り詰める。
「チュウジ様、行かせてくれ」
ゲン太。
「俺もだ」
カン。
「……俺も行きます」
「頼んだぞ」
「残りは周辺の警戒」
「キジオは救出隊に伝令じゃ」
――訓練場。
モンジ。
ウニ。
そして。
10羽のカラス。
「なんだよ!!」
「誰もいねぇじゃねぇか!!」
「あの野郎!」
「だましやがったな!!」
苛立ち。
「……いるよ」
声。
森の奥。
現れたのは――
ハチ公。
「僕が間違ってた」
「自分のことしか考えてなかった」
「でも――」
顔を上げる。
涙の跡。
「僕は……」
「逃げない」
「ここで戦う」
震えている。
だが。
目は力強く見開いている。
「……は?」
モンジが笑う。
「勝てると思ってんのか?」
ウニも笑う。
「無理に決まってるじゃないですか〜」
「まあいいや」
モンジが羽を広げる。
「やっちまえ」
空が動く。
十羽。
一斉に。
その瞬間。
場の空気が変わる。
風が止まる。
どこかで。
何かが。
近づいている。
ハチ公は気づかない。
だが――
別の場所では。
確かに感じていた。
「……来る」
ナナが足を止める。
「何かが……動いた」
シロの目が細くなる。
「ええ……」
「嫌な気配です」
だが。
もう遅い。
襲いかかる。
防ぐ。
相手は十羽。
足りない。
傷。
増える。
意識が揺れる。
皆の顔がよぎる。
(ごめん……タマ……)
(みんな……)
諦めかける。
ウニが言う。
「成果無しじゃまた怒られますし……」
「こいつやって連れて帰りましょうか」
「お、おう」
「よし、やれ!」
一方。
「ナナ!」
キジオが救出隊と行き会う。
「無事助けられたんだな」
「まあ余裕の八っちゃんよ!」
アキュラがおどける。
「どうしてあなたがここに?」
シロの問いかけにキジオが答える。
「あいつが一人で?」
「死にに行くようなもんじゃねぇか!」
モンとチッチが慌てる。
「すぐ戻ろう」
ハリーの一声で足を速める。
再び訓練場。
ハチ公、絶体絶命。
「さあトドメだ!!」
カラスが突っ込む。
その時。
――ドンッ!!
衝撃。
カラスが吹き飛ぶ。
土煙。
その向こう。
一つの影。
そして。
さらに――
二つ。
重なる。
静かに。
だが。
圧倒的に。
そこに立つ。




