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まさか!うちのニャンコが?!―伝説を継ぐ者たち―  作者: トネガワ ワタル


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第16話 未完成

 場が整う。


 円を描くように猫たちが下がる。


 中央。


 ナナ。


 シロ。


 風が止まる。


「……やるの?」


 ナナが言う。


「ええ」


 シロは穏やかに頷く。


「軽くでいいですよ」


 その言葉。


 ナナの眉がわずかに動く。


(……余裕)




「始め」


 チュウジの声。


 ――瞬間。


 ナナが消える。


 低い踏み込み。


 一直線。


(速い)


 周囲が息を呑む。


 そのまま懐へ。


 爪。


 ドンッ!!




 しかし。


 当たらない。


 シロはそこに“いない”。


 ナナの目が揺れる。


(読まれた……?)




 背後。


「――こちらですよ」


 声。


 振り向いた瞬間。


 トン


 軽い一撃。


 だが。


 ドンッ!!


 ナナが吹き飛ぶ。




「……っ!!」


 地面に爪を立て、止まる。


 ダメージは浅い。


 だが――


(見えなかった)




「もう一度来なさい」


 シロは動かない。


 ナナが歯を食いしばる。


(まだ……!)


 踏み込む。


 今度はフェイント。


 左右に揺れる。


 流れを変える。


 ニャオス。


 乗せる。


 加速。


 ドンッ!!




 またしても。


 空を切る。


 シロは最小限の動きで避ける。


「良い判断です」


「ですが」


 スッ


 ナナの軌道に合わせて動く。


 ――完全に読んでいる。


 カウンター。


 バシィッ!!


 ナナが再び弾かれる。




「……くっ」


 ナナが立ち上がる。


 息が乱れる。


「どうしたのですか?」


 シロの声は変わらない。


「先ほどの勢いは」


 静か。


 だが刺さる。




「……黙って」


 ナナの目が鋭くなる。


(当たらない)


(読まれる)


(なんで……!)




「焦りです」


 シロが言う。


「力に振り回されています」


 ナナが睨む。


「……分かったようなこと言わないで」


「分かりますよ」


 静かに。


「同じですから」


 その一言。


 ナナの動きが止まる。




「あなたは強い」


「ですが」


「強すぎる」


「故に」


「制御が追いついていない」


「流れが乱れる」


「だから当たらない」


 ナナが拳を握る。




「……もう一度」


 ナナが言う。


 構える。


 深く息を吸う。


(感じる……)


 流れ。


 今までより。


 少しだけ。


 深く。


 踏み込む。


 最小の動き。


 一直線。


 ドン――


 その瞬間。


 シロの目がわずかに動く。


 だが。


 トン


 またしても止められる。


 ナナの額に、シロの前足。


 完全な制圧。




「……ここまでです」


 静かな宣言。


 ナナは動けない。


 悔しさ。


 だが。


 理解もある。




 シロが足を引く。


「良い一撃でした」


「次は当たりますよ」


 ナナは何も言わない。


 ただ。


 シロを見ている。


(……次は)




「見えたか」


 チュウジの声。


「才能と」


「完成の差じゃ」


「だがな」


「差があるということは」


「伸びしろがあるということじゃ」


 風が吹く。


 ナナの目が変わる。


 悔しさから。


 闘志へ。

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