第15話 技で立つ者たち
修行は続いていた。
ニャオス。
流れ。
感覚。
だが――
ハリーがふと気づく。
「……あれ?」
視線の先。
ギンジ。
ゲン太。
そして数匹の古株たち。
彼らは――
石を動かしていない。
ギンジは静かに構える。
相手はシロ。
「行くぞ」
低い声。
次の瞬間。
踏み込み。
加速。
――速い
だが。
シロは避ける。
ギンジの爪が空を切る。
そのまま連撃。
ニャオスは使っていない。
純粋な体術。
ゲン太も動く。
相手はレオ。
力と重さ。
ドンッ!!
正面から叩き潰す一撃。
レオが弾かれる。
「ぐっ……!」
だが倒れない。
すぐに距離を取る。
「……あの人たち」
ハリーが呟く。
「ニャオス、使ってない?」
チュウジが答える。
「使えぬわけではない」
「だが」
「頼らぬのじゃ」
「ニャオスは不安定じゃ」
「消耗もする」
「流れが乱れれば、逆に隙となる」
ナナが聞く。
「……だから使わないの?」
「違う」
チュウジの目が鋭くなる。
「使わずとも強いのじゃ」
「ギンジ」
「ゲン太」
「奴らはな」
「ニャン法を極めておる」
「体の使い方」
「間合い」
「読み」
「それだけで戦える域におる」
「見ておけ」
再び動く。
ギンジ vs シロ
今度は――
ギンジが踏み込む“前”に。
シロが動く。
カッ
ギンジの攻撃が逸れる。
カウンター。
ドンッ!!
ギンジが後退する。
だが倒れない。
笑う。
「やるな」
「まだまだですよ」
シロが静かに答える。
「見たか」
チュウジが言う。
「ニャオスがあろうがなかろうが」
「基礎がなければ意味はない」
「逆に」
「基礎があれば」
「それだけで戦える」
「だからこそ」
「重ねるのじゃ」
「ニャン法に」
「ニャオスをな」
「どちらか一つでは足りぬ」
「来い」
ギンジが言う。
視線は――
ハリー。
「……俺?」
「そうだ」
「試してみろ」
ハリーが構える。
緊張。
(やるしかない)
踏み込む。
ニャン法。
そこに――
ニャオスを乗せる。
ドンッ!!
速い。
だが。
ギンジは。
避ける。
最小の動きで。
そして――
カウンター。
バシィッ!!
ハリーが吹き飛ぶ。
「ぐっ……!」
「甘い」
ギンジの一言。
「力はある」
「だが」
「当たらなければ意味がねぇ」
ハリーが歯を食いしばる。
「でもな」
ゲン太が言う。
「今のは悪くねぇ」
「乗せ方はできてる」
「後は“当て方”だ」
ナナが見ている。
(……そういうこと)
シロを見る。
ギンジを見る。
違う。
だが――
(繋がってる)
「覚えておけ」
チュウジの声。
「力に頼るな」
「技に溺れるな」
「両方を知れ」
「それが――」
「強さじゃ」
風が吹く。
修行は、さらに深くなる。




