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まさか!うちのニャンコが?!―伝説を継ぐ者たち―  作者: トネガワ ワタル


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第14話 重ねる力

 砕けた石。


 その残骸を、誰もが見ている。


 ナナの一撃。


 シロの破壊。


 確かに“力”は存在した。


 だが――


「……これ、戦いでも使えんのか?」


 ハリーが呟く。


 その疑問に。


 チュウジが答える。




「使える」


「だが――簡単ではない」


 静かに言う。


「石は動かぬ」


「意思もない」


「だが、生き物は違う」


 空気が少し変わる。


「動く」


「考える」


「避ける」


「ニャオスは“流れ”じゃ」


「固定された物には通りやすい」


「だが、生き物は流れがぶつかる」


「故に」


「そのままでは当たらん」


 ナナが目を細める。


「……じゃあどうするの」




「重ねるのじゃ」


「ニャン法と」


「ニャオスをな」


 ハリーが息を呑む。


「体を動かす」


「攻撃を出す」


「その“瞬間”に流す」


「それが――本当の使い方じゃ」




「見ておけ」


 チュウジがゆっくり立つ。


 近くの木。


 その幹へ歩く。


 軽く前足を振る。


 トン


 一見、弱い一撃。


 だが――


 次の瞬間。


 バキッ


 内部から、木が裂ける。


 静寂。


「……今の……」


 ハリーが震える。


「乗せただけじゃ」


 チュウジは何事もないように言う。


「ニャン法に」


「ニャオスをな」




「……だから石は飛んだのか」


 ハリーが呟く。


「ナナは強く出しすぎた」


「シロは正確に“壊した”」


 ナナが拳を見つめる。


「……制御」


「そうじゃ」


 チュウジが頷く。


「強いだけでは意味がない」


「当ててこそ、力じゃ」




「やってみよ」


 全員が構える。


「動きながらだ」


「止まるな」


 地面を蹴る音。


 風を切る音。


 猫たちが動き出す。




 ハリーが飛び込む。


 前足を振る。


(今だ……!)


 流す。


 ドンッ


 地面が抉れる。


「……っ!」


 当たった。


 だが――


「遅い」


 シロの声。


「当たる前に避けられます」


 ハリーが歯を食いしばる。




「任せろ!!」


 アキュラが突っ込む。


 勢い任せ。


「うおおおおお!!」


 ――空振り


 だが。


 足が滑る。


 体勢が崩れる。


 そのまま――


 偶然の角度で一撃。


 バキィッ!!


「え?」


「当たったぁぁぁぁ!!」


 爆笑。


「それ狙ってねぇだろ!!」


 キジオが叫ぶ。


「これが八のご加護だ!!」


 モンとチッチが転げる。




 ナナは動かない。


 観ている。


(流れ……)


 空気。


 動き。


 間。


 すべてを感じ取る。


 そして――


 踏み込む。


 最小の動き。


 スッ


 ――ドン


 無駄のない一撃。


 だが。


「浅い」


 シロが言う。


「威力を抑えすぎです」


 ナナが舌打ちする。


「……難しい」




 シロが隣に立つ。


「感覚は合っています」


「ですが」


「迷いがありますね」


 ナナが睨む。


「……何が言いたいの」


「壊す覚悟です」


 静かに言う。


「当てると決めた瞬間」


「ためらえば、流れは乱れます」


 ナナは黙る。




 チュウジが全体を見る。


「無理はするな」


「使えば消耗する」


「それがニャオスの代償じゃ」


 ハリーが息を切らす。


 アキュラは既に座り込んでいる。


「もう無理!!回復!!」


「ただのサボりだろ」


「違ぇ!!戦略的撤退だ!!」


 笑いが起きる。




「よいか」


 チュウジの声が響く。


「ニャオスは万能ではない」


「強ければ強いほど」


「扱いは難しくなる」


「そして――」


「相手もまた、生きておる」


「戦いとは」


「力のぶつけ合いではない」


「流れの奪い合いじゃ」




 ナナが空を見上げる。


(……もっと、できる)


 シロが静かに見る。


 ハリーが拳を握る。


 アキュラは寝ている。


「回復中だ!!」


 キジオがため息をつく。


 だが。


 確実に。


 全員が、前に進んでいた。

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