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まさか!うちのニャンコが?!―伝説を継ぐ者たち―  作者: トネガワ ワタル


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第13話 見えぬ力

 朝のハグサ山。


 陽の光。


 穏やかな風。


 だが――


 観光客が来れないこの場所。


 空気は張り詰めていた。


 チュウジの言葉。


「ニャオス」


 その意味を、誰も理解していない。




「よいか」


 チュウジがゆっくり口を開く。


「ニャオスとは」


「すべての猫に流れる力じゃ」


「だが、強さも使い方も――個々で違う」


「使えば消耗する」


「故に猫はよく寝る」


「回復のためじゃ」


 アキュラが小声で言う。


「じゃあ俺、めちゃくちゃ強いじゃん」


「ただの寝坊だろ」


 キジオが即座に返す。


「違ぇよ回復だよ!!」


 モンとチッチが吹き出す。




「言葉だけでは分からん」


 チュウジが視線を動かす。


 少し離れた場所。


 小さな石。


「動かしてみよ」


「……は?」


 ハリーが固まる。


「いやいや無理だろ」


 アキュラも言う。


「集中せい」


「感じるのじゃ」


「自分の内側をな」




 ハリーが前に出る。


 じっと石を見る。


 呼吸を整える。


(……力……?)


 分からない。


 だが。


 何かを掴もうとする。


 ――コツ。


 ほんのわずか。


 何かが“繋がる”。


 カッ


 石が、揺れた。


「……っ!!」


 周囲がざわつく。


「今の……!」


 ハリーが驚く。


 自分でも信じられない。




「よっしゃ次は俺だ!!」


 アキュラが飛び出す。


「見とけよ八の力!!」


「だから八関係ねぇって」


 キジオが言う。


 アキュラが構える。


 目を細める。


「……動けぇぇぇぇ!!」


 ――コツン


 石が、少しだけ転がる。


「きたぁぁぁぁ!!」


 アキュラが跳ねる。


「見たか!!俺の才能!!」


「さっきのハリーの方がすごかったぞ」


「うるせぇ!!」


 笑いが起きる。




「……次」


 ナナが前に出る。


 静か。


 無駄がない。


 石を見る。


 目を閉じる。


(……ある)


 確かに。


 “何か”がある。


 掴む。


 押す。


 ――瞬間。


 ドンッ!!!


 石が吹き飛ぶ。


 地面を削りながら、遠くへ弾かれる。


 沈黙。


「……え?」


 アキュラが呟く。


「いや今の何?」


 キジオが固まる。


 誰も動けない。


 ナナ自身も、目を見開いている。


「……今の……私?」




 沈黙の中。


 アキュラがぽつり。


「……八、負けたわ」


 一瞬。


 空気が崩れる。


「当たり前だろ!!」


 キジオが叫ぶ。


 だが、誰もが理解していた。


(……レベルが違う)




「……ふむ」


 チュウジが静かに言う。


「おい」


「そこの白いの」


 全員の視線が向く。


 シロ。


「僕ですか」


 落ち着いた声。


「やってみなさい」




 シロが前に出る。


 静かに石を見る。


 構えない。


 力まない。


 ただ――


 “そこにあるもの”を掴む。


 次の瞬間。


 パキン


 石が、内側から弾けた。


 粉のように砕ける。


 完全な破壊。


 沈黙。


 誰も、声を出せない。




「……いつから気づいておった?」


 チュウジが聞く。


 シロは少しだけ考える。


「名前は知りませんでした」


「ですが」


「違和感は、ありました」


「妙に勘が働く」


「見えていないものが“分かる”」


「それが普通ではないことは」


「理解していましたよ」


 チュウジが小さく笑う。


「やはりな」



 ナナがシロを見る。


 シロもナナを見る。


 言葉はない。


 だが――


 分かる。


(……同じ)


 何かが。


 確実に。




「始まったのう」


 チュウジの声。


「眠っていた力が」


「目を覚ます」


「だが」


「力とは――扱う者次第じゃ」




「これより」


 チュウジが言う。


「鍛える」


「ニャン法、そして」


「ニャオスをな」


 風が吹く。


 新たな段階へ。

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