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91、最後は特別ミッション

「えっ? 制作中の乙女ゲームに、採用って……」


 私と関わっていた誰かが、攻略対象に選ばれたの?


「シャルルさん、『恋をしないと出られない星』(仮)って、20周年の大作かな? ゲーム舞台は、まだ作られてないと思うよ。透明な森に隣接する未開地かぁ。あっ、RPG物になるんだっけ」


 サリィさんは、楽しそうな顔をしてるけど、後ろから来たオルフルさんの咳払いで、ハッとしたみたい。



「あの、注意書きだと思うんですけど?」


 私の携帯機は、後ろから何人かが覗き込んでいる。見知らぬ人まで、いるみたい。


「オモチさん、赤く点滅してるとこを押してみて。後ろに立っているのは、オトメンのテスト要員をしていた人だよ。フレンド以外の人の目がある方が、何かあったときに、訴えやすいからね」


「そう、なんですね。じゃあ、押してみます」


 私は、注あり、の部分に触れてみた。すると、メールのような長い文章が表示された。



『オモチ様、ミッション30に到達おめでとうございます。貴女の行動の断片が、開発中の乙女ゲームに仮採用されました。おめでとうございます! そのため、ミッション30は、本採用を想定した特別ミッションとなっております。これまでとは違いがありますので、下記の注意事項をよくお読みください。適当なことをされてしまいますと、クリアできなくなりますので、ご注意ください』


 ええっ!? 私は、携帯機を見ている人達が読んだことを確認し、下へとスクロールする。


『オモチ様のミッション30は、恋をした人に告白しよう! です。これまでに関わった人達の中で、オモチ様が最も恋心を抱いた人に告白してください。その方法は、恋のお守りを渡す形で、告白していただきます。恋のお守りは、ファン会館やクリスタルショップで販売されています。本当に好きな人に渡さないと、お守りは輝きませんので、ミッション失敗となります。そうなると永住が決定してしまうので、ご注意ください』


 あれ? 恋のお守りなら、買ったかも。周りの人が読んだことを確認して、さらに下にスクロールする。


『これまでに携帯機を通じて、オモチ様の情報は測定済みです。複数の好きな人がいる場合は、最も好きな人に告白してください。運営側の記録とは異なる相手への告白は、ミッション失敗とさせていただきます。ご自分の中で、選ぶのが難しい場合は、測定アプリの利用が可能です。測定アプリを利用されますか?』


 その下には、イエス、ノーの文字がチカチカとしている。どうしよう。シャルルさんの方に振り向いた。



「オモチさん、日数は、まだ7日あったわね?」


「はい、あと7日です」


「早めにクリアしておいて良かったわ。運営側の記録と一致しないと失敗になるから、測定アプリを利用しましょう。おそらく、1日では判断できない仕様よ。攻略対象の候補者に測定アプリが出たのを見たことがあるわ。確か、恋人の人数分の日数が必要だったと思う」


 シャルルさんは、話しながら携帯機を操作して、何かを確認している。



「シャルルさん、貴女が協力していることを運営は知ってるわよね? 私もオモチさんのフレンドだし、応援してる。これは、罠じゃなくて、親切心のフリをして、新たなメモリーを得ようとしてるんじゃない?」


 サリィさんがそう言うと、シエルさんともう一人のオトメンのテスト要員の人が、同時に頷いた。


「僕もメモリー集めだと思います。この段階で罠にかける意味はないですよ。運営も、そこまで愚かではないと思います。オモチが襲われた件で、かなり慎重になっているでしょうし」


「そうねっ! アバター専用のナイフを開発して、ロッコ族を襲おうとしていた件は、ロッコロッコ星の人達に情報を流したもん。オモチさんのミッションを邪魔する気はないと思うよ。逆に、アース星に追い返したいかも」


 以前、シエルさんから聞いた話だ。


「それなら、イエスで大丈夫でしょうか」


「うんっ! イエスだね。測定アプリを使うことにしよう」


 サリィさんの許可が出た。シャルルさんも大きく頷いている。私は、イエスを選択した。



『測定アプリを追加しました。測定アプリ稼働中は、ゲームの恋人の機能は停止されます。測定アプリの数値は、72時間後に確定します。それまでに、候補となる全員とデートをしてください。ご不明な点は、メールにて承ります』


 また、72時間だ。ビンゴの時間制限も72時間だったから、ちょっとギクッとする。



「やはり、測定期間は、恋人の数の日数だったわね。お守りは、たくさん買ったよね?」


 シャルルさんは、ホッとしたみたい。3日間の測定後に、一番数値が高い人に私が告白すれば、ミッションコンプリートなんだ。


「はい、クリスタルショップで買いました」


「ファン会館で買うと、10倍の値段になるからねー」


 シャルルさんは、クリスタルショップの話になると、上機嫌だ。2階の事務室に、仕入れた品物を売ってきたのね。



「シエルさんは、少し複雑な表情ねー。でも、恋と結婚は別だからさー。これですべてが決まるわけじゃないと思うよ」


「サリィさん、それって、僕が不利だと……」


「さぁね〜。オモチさん自身も、わかってないんじゃないかな? でも、ゲームの恋人の機能が停止されたってことは、キスをしても24時間の独占ができないってことよね」


 サリィさんは、すっごくワクワクしてるみたい。リアル乙女ゲームを見ている気分なのかも。



「オモチさん、夜遅くなったわね。送って行くわ」


 シャルルさんが、そう言ってくれた。


「そうだね。シエルさんも、他の恋人と同じく、明日からにする方がいいね。早いから有利というわけじゃないもの。ふふっ、オモチさんは誰を選ぶのかなぁ? ワクワクするね」



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