表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

89/122

89、ファン会館のレストランへ

「オモチさん、このままファン会館に行くわよ」


 私達は、透明な森の小屋から、宿屋ノームの近くの転移屋に移動した。シャルルさんは、ミッション30が何かを早く確認したいみたい。


「はい、あっ、あの屋台……」


「お腹が空いたの? ファン会館の上のレストランまで我慢してちょうだい」


「いえ、フレンドさんの屋台が久しぶりに出てるけど、居ないみたいで……」


 カフスさんの姿はなかった。もう一人の人はいるし、見たことのない店員さんもいる。


 だけどシャルルさんは、時間を気にしているのか、立ち止まってくれない。




 ファン会館が見えてくると、シャルルさんは思い出したように、口を開く。


「あぁ、メイロ星から来た難民なら、王城の手伝いミッションが出ているはずよ」


「えっ? あ、カフスさんは、メイロ星から来たと言ってましたが、攻略対象の人達を嫌っているみたいでしたが」


「でしょうね。フレンドなら地図を見てみれば? もともと王城で働いていたメイロ星の難民は、かなりの数が研究室送りになったわ」


 シャルルさんにそう言われて、携帯機のフレンドから、サフスさんを探した。居場所を表示すると、ルナシティの地図に切り替わった。王城じゃないけど、王城の近くにいる。


 あれ? ラムネさんが消えてる!


 私は友好値のついているフレンドは少ないから、フレンドリストで見落とすわけがない。



「ルナシティに居なかった?」


「カフスさんはルナシティに居ます。でも、ラムネさんがリストから消えてる」


 シャルルさんは、低い小声で、あぁと呟くと、突然、立ち止まった。ファン会館の入り口はすぐそこだからかな。


「オモチさんをハメたフレンドでしょ? さっき話した人達と同じよ。たぶん、研究室送りね。『月の世界の王子様』の攻略対象が利用していた手駒は、すべて街から排除されたのよ」


「街から排除……」


「ええ、排除で済んだのは、被害者であるウィルが、反省の機会を与えるようにと、監視者に懇願したからだと思うわ。甘い措置だと思うけどね」


「王城にいた人達が排除されたから、カフスさんに王城の手伝いミッションが出てるんですね」


「そういうことよ。私は、個別の具体的なことは知らないわ。気になるなら、ミッションが終わった後に、監視者に聞いてみてもいいかもね」


 そうか。今は、私はゲームの主人公だから、話せないこともあるんだろうな。




 ◇◇◇



 ファン会館に入ると、夕方の公演の中継が終わったのか、大勢の人が食堂から出てきた。


「チッ! まだ5分は余裕があるはずなのに、出てくるのが早いわね」


 シャルルさんは、私の腕を掴むと、悪役令嬢オーラ全開で、歩き始めた。私は主人公の魅了魔法を放ってないから、全く見られない。いや、シャルルさんが、怖がられているのかも。


 すごい人混みだけど、揉みくちゃになることなく、2階への階段にたどり着いた。2階から降りてくる人も多いけど、看板だらけの1階よりは、マシね。


 2階からさらに3階へと、上がっていく。


 シャルルさんがずっと私の腕を掴んでいるから、私が何かやらかしたのだという声が聞こえてくる。でも、私がオモチだということは、バレてない。シャルルさんが、魔法で隠してくれているのかも。




「3階には、運営の会議室と関係者専用のレストランしかありません。一般の方の立ち入りは……あぁ、ロッコロッコ星のシャルルさんでしたか。失礼しました」


 3階には、以前と同じく、騎士風の人達がいた。シャルルさんが無言で、身分証を見せている。


「サリィ王女と待ち合わせをしているのですが、どちらにおられるかしら?」


「中継が終わったばかりですので、レストランかと」


「わかったわ。オモチさん、行くわよ」


 私の名前を聞いた騎士風の人達は、軽く会釈した。私も慌てて、会釈を返す。名前を知られてるのね。


 シャルルさんを追いかけて、私も、関係者のレストランへと、入っていった。




 ◇◇◇



「オモチさん、久しぶりね〜っ! もう大丈夫? よね? どこも痛くない?」


 サリィさんは、公演の中継を見終わったままのテンションで、駆け寄ってきてくれた。


「はい、もう大丈夫です。いつも、チャットをありがとうございます」


「うんうんっ! 今ね〜、『レモネードはキスの味』の公演の中継を見てたのー! だけど、ラックルは欠席だったよぉ〜。ひどいよねー」


 サリィさんの後ろから歩いてきたオルフルさんが、ビクッと固まったのが見えた。まだ、ラックルがオルフルさんだとは、バレてないみたい。



「そうなんですか。そういえば、以前、ここで一緒に見た『月の世界の王子様』の公演には、課金キャラや後発配信のキャラは、出てなかったですよね。まだ配信されてない星があるから、秘密なのかも」


「あー、なるほど。アース星は、まだ配信されてないよね〜。うーむ、仕方ないな。運営に直談判しようかな〜」


 一瞬、ホッとしたように見えたオルフルさんが、また凍りついている。


「サリィさん、アース星の配信は、もうすぐだから、次の公演とかで登場するかもしれませんよ。楽しみに待っている方が、ワクワク時間が長くて、お得じゃないですか?」


「そういう考え方もあるかなー。アース星から来た人が、配信されてないキャラを見ると、ネタバレになっちゃうかぁ〜」


 ふふっ、テンションの高いサリィさんは、かわいいな。乙女ゲームが大好きなのよね。




「サリィさん、オモチさんのビンゴの時間制限クリアしました。最後のデイリーミッションを早く知りたいんで、シエルさんを……」


 シャルルさんが、そう話していると、厨房から、騒ぎに気づいたシエルさんが出てきた。


 彼の料理人の制服姿に、ちょっとドキッとしてしまった。アバターを身につけてないから、大人っぽいのよね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ