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73、シエルさんが明かしたこの星の秘密

 私は今、シエルさんと、夕食を食べに酒場に来ている。クローラさん達が居ない場所で、話をしようと考えたみたい。個室を指定してる。


 さっきの話は、全然わからなかった。シエルさんは、そのことを説明してくれるのかな。



「オモチ、適当に注文するね」


「はい、お願いします」


 個室に案内されるときに、今までとの違いに気づいた。私は、全然見られない。アバターを身につけてないシエルさんと一緒だからか、逆に見ないようにされていると感じる。


 今日の投薬治療で、主人公のアバターが放つ魅了魔法が消えたのだと実感した。今、シエルさんとのゲームの恋人時間だということも、影響してるかな。


 だけど地下室では、普通に話しかけられた。病院だもんね。精霊の加護のある地下室は、ゲームの影響が除外されているエリアかも。



 注文した料理が届いた。シエルさんは、やはり私の好みを熟知している。いや、似てるのかな。


「オモチ、食べよう。酒場へ行こうも、フリーミッションでは、回数ごとに達成されていくはずだよ」


「はい、私が好きな料理が並んでます」


「やっぱりね。僕と好みが似てるよな」


 シエルさんは、無邪気な笑みを浮かべると、料理を食べ始めた。私はまだ投薬治療後の満腹感が残っていたから、食欲はない。ポテトサラダをつまんでみた。やはり酒場の料理って、塩味が強いな。



「ゲームの恋人時間だからか、あまり見られなくなっています。魅了魔法が消えた影響もあるのかな?」


 私は、何気ないフリをしてそう話した。だけど、シエルさんには、私が聞きたいことがバレてるみたい。彼は、ふわっと優しい笑みを浮かべている。


「オモチのアバターからは、主人公特有の魅了魔法は消えているね。だけど、僕の感覚は変わらないよ。オモチは、アバターが放つ魅了魔法の影響で、相手が自分に好意を持つと思ってるよね? あぁ、そうか。クローラさんがこの判断をしたのは、確実にと考えたのかな」


「クローラさんは、私を確実に星に帰したいんですね?」


「そう言ってたね。おそらく、ロックダム王国から来ている人達が、未来から来たロッコ族に捕まらないことが、本当の目的だと思う。サリィさんがいつまでも居ると困るのは、そういうことだよ」


 ん? 全然わからない。


「ロックダム王国のクローラさんは、セルフィア王国のサリィさんを恐れているのですか?」


「うん、サリィさんが居る間は、ロックダム王国の王族は、未来から来たロッコ族を討てないからだよ。あぁ、話が全然見えないよね。どこから話そうか」


 シエルさんは、私に秘密を打ち明けようとしてくれているのかな。だけど、それを話す理由がわからない。



「私は一般人なのに、そんな話を聞いてもいいのですか? なぜ、こんな話を私にしてくれるんですか」


 私は、野菜スティックに手を伸ばしながら、疑問をぶつけてみた。シエルさんは、余裕の笑みだ。


「オモチは、僕と結婚するかもしれないでしょ? 僕が求婚したんだから、もう関係者だよ。断られても、オモチがアース星に帰るなら、アバターの回収時に、人工星の機密事項は記憶から消えるからね」


「えっ? あー、はぁ」


 返事がわからなくて、声が裏返ってしまった。


「それに、オモチの一番最後のミッションのためには、隠し事はしない方がいいと思った。最後は、きっと、親しく交流した人達への別れの挨拶だと思うからさ」


 シエルさんはブレないな。やはり、いい人だ。


「ありがとうございます。シエルさん」


「ん? あはは。オモチの好感度を上げる作戦なんだけどね。えーっと、聞きたいことを教えてくれる? 可能な範囲で説明するよ」


 そう言われると、何を質問すればいいか、わからないな。あっ、ロッコ族って……。



「ロッコ族って、ロッコロッコ星の人のことですか?」


「うん、そうだよ。クローラさん達は、未来から来た人達のことをそう呼んでいるね。ロッコロッコ星にいる魔導士は、ロッコ族という種族なんだ」


 あっ、じゃあ、セルさんも?


「未来から来たロッコ族って、シャルルさんもですか?」


「この街にいるロッコロッコ星の人は、違うよ。未来から来たロッコ族は、今は未開発エリアにしか居ないよ」


 セルさんも違うのね。じゃあ、なぜ話すの?


「そうなんですね。なぜ、そんな人達のことを……」


「オモチが気になっている人は、ロッコロッコ星の魔導士でしょ? 今、街にいるロッコロッコ星の人達には関係ないことだけど、研究室にいる人達は、未来から来たロッコ族のサポートをしているよ」


「未来人のサポート?」


「うん。つまり、街でミッションを失敗して研究室送りになったら、1年経っても街には戻れない。それは、既にロッコロッコ星の人は知っているはずだけどね」


 えっ? セルさんの自由が無くなる?


「それって……」


「この星ができたときから協力しているロッコロッコ星から来た人達には、今、同じマンスリーミッションが出ている。主人公を闇堕ちさせろ、というミッションだよ。街で遊んでいるロッコロッコ星の人達を、かき集めたいみたいだね」


「ええっ!? じゃあ……」


 セルさんは、強制労働?


「オモチを星に帰すことが、彼の街での最後の思い出になるかもね。さっきも聞いただろうけど、この世界は、少し前から、上書きが始まったんだよ」


「上書きって、何ですか?」


「誤った歴史をやり直すことだよ。この人工星は、10年後には人が住めなくなる。その後、制御されなくなった人工星は、隕石衝突によって爆発するそうだ。膨大なエネルギーが宇宙に放たれて、一つの星系、いやもっとかな? 広範囲にある星が犠牲になる。だから未来から、ロッコ族が来ている。元凶を見つけて取り除くためにね」


 壮大すぎる話なのね。



皆様、いつも読んでくださってありがとうございます。

ブックマークや星応援、いいねもありがとうございます♪


これまで土日は2話投稿していましたが、5月からは、毎日1話更新に変更します。どうぞよろしくお願いします。

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