表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

69/72

69、薬湯

 翌朝、薬師が言っていたように、外に出られそうなほど、体力が回復していた。地下室に投薬治療に行った後は、久しぶりに外に出てみようかな。


 朝食前に、シャルルさんに、今日の投薬治療後は外に出られることを、チャットしておいた。


 シャルルさんからの返信はなかったけど、シエルさんからチャットがきた。シャルルさんが知らせたみたい。



『オモチ、外出できるようになって良かったよ。地下室に迎えに行くね。できそうなフリーミッションを手伝うよ』


 あっ、来てくれるんだ。心強いけど、なんだか申し訳ない気がする。だけど断るのも良くないか。


『ありがとうございます。昼過ぎから、約3時間の投薬治療になると思います』


『わかった。シャルルさんから、やっておくべきフリーミッションを教えてもらったから、無理のない範囲でクリアしようよ。じゃあ、後でね』


 シエルさんは、仕事は大丈夫なのかな? もう、乙男おとめんゲームのテスト要員は、終わったかな。



 朝食後のお茶を飲みながら、久しぶりにミッションを開いてみた。焦ると治療に悪影響だと薬師に言われていたから、全然見てなかった。ちょっと怖いな。



【ミッション28】未達成

 ビンゴを1枚クリアしよう!

(残り8日13時間36分)


【ミッション20】恋人を作ろう!

【ミッション21】酒場に行こう!

【ミッション22】青く輝く湖を見に行こう!

【ミッション23】ショー劇場に行こう!

【ミッション24】異性のフレンドと話そう!

【ミッション25】コンセプトカフェに行こう!

【ミッション26】看板通りに行こう!

【ミッション27】花壇のある公園に行こう!



 随分と減ったけど、まだ余裕はある。今日は、ここに来て20日目か。思いっきり進めてなかったら、デイリーミッション失敗で、永住が決定してたよね。


 そっか、20日目か。シエルさんのテスト要員の期間は、まだ残っているかな? 確か7日違いだったと思うけど。




 ◇◇◇



 いつものように、宿屋のチェックアウト時に宿泊予約をしてから、地下室に降りた。


「オモチさん、こんにちは。こちらにお願いします」


 あれ? いつもは、薄型テレビのような画面の前で、椅子に座って点滴を受けていた。だけど、薬師さんはベッドを指している。


「はい、ベッドに寝転ぶのですか?」


「今日と明日は、アバターの核となる部分の修復ですので、こちらの薬湯に入ってもらいます」


 ん? お湯? ベッドの下には、湯船のようなものが用意されていた。


「服を着たままでいいのですか?」


「はい、問題ありません。あっ、携帯機は手に持って、上にあげていてください」


 私は、携帯機を握って、ベッドに寝転ぶ。すると、湯船が上がってきて、私は、頭も沈んでる!? だけど、息苦しさはない。人肌くらいの水温だから、何だか変な感じ。


 あっ、透明なカプセルみたいなもので蓋をされてる。携帯機を握った手だけは、カプセルの外みたい。


 だんだん眠くなってきた。薬湯って、飲む物じゃないのね。身体がポカポカしてきたけど、水中という感覚はない。不思議すぎる。




 ◇◇◇



 私は眠っていたみたい。目が覚めると、ベッドの上だった。もう、薬湯は片付けられている。


 上体を起こし、寝ぼけた頭で周りを見回していると、知らない男性が、心配そうな顔で近寄ってきた。誰? 別の薬師だろうか。


「オモチ、大丈夫? なかなか目覚めないから、心配したよ」


 この声って……。あっ! 寝癖みたいな髪型。プロフィールの写真と同じだ。


「シエルさん? 私、薬湯がポカポカで眠ってしまったみたいです」


「ふふっ、ポカポカだったんだね。よかったよ。薬師が、アース星の人に使うのは初めてだと言ってたから、ちょっと焦った。魂とアバターを繋ぐ臓器が損傷しているんだね」


「アバターの核となる部分の修復だと聞いてます。2日間と言われたから、明日もだと思います。あっ、私が寝てしまったから、もしかして、もう遅い時間ですか?」


「うん、今は、夜8時すぎかな」


 ひぇっ! シエルさんには、昼から3時間の投薬治療って言ったよね、私。


「すみません。シエルさんを待たせてしまって……」


「ふふっ、気にしなくていいよ。今夜は、僕は眠らない日だし、寝起きのオモチを見れた。無理のない範囲で、出掛けようか」


「は、はい。あっ、薬師さんは……」


「食事休憩中だと思うよ。また明日の昼に来てください、と言ってた。しかし、薬湯を使うとは驚きだね。アバターを生み出すときの魔法薬だよ。宿屋ノーム側が支払うと聞いた」


「あ、はい。昨日、定額で払った一部の返金をしてもらいました。宿屋側にも落ち度があったから、一部を払ってくれるみたいです」


「そっか。たぶん、オモチの方が一部だと思うけどね」


「ええっ? そう、なんですか?」


「うん、外に出てみればわかると思うよ。僕を見て、すぐにわかったのも、薬湯の影響かな?」


「えっと、今のシエルさんは、アバターじゃないですよね? プロフィールで写真を見ていたし、声がシエルさんだから」


「ふふっ、そっか。オモチには声でバレたのか。久しぶりに自分の身体に戻ったから、まだ違和感があるよ。オトメンの研修期間の途中から、アバターだったからね」


 確かに見た目は、印象が違う。以前のシエルさんより、少し大人な雰囲気だな。


「いつ、戻ったんですか?」


「一昨日だよ。昨日は、ダルくてほぼ寝てたかな。昨夜は少し仕事をしたけどね。アバターの頃とのギャップで、いろいろ失敗したよ。オルフルさんから、数日休んで調整しろと言われてしまった」


「叱られたんですか」


「そうだね。サリィさんの配慮かもしれないけどね。オモチの護衛ができる。もう、失敗はしないよ。さぁ、出掛けようか」


 シエルさんは、手を出してくれた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ