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59、ケイトさんは娘で恋人

 公演が終わり、しばらくすると、ウィルが戻ってきた。そのまますぐに、控え室にあるシャワー室に入った。


 もう、ゲームの恋人時間は終わっている。きっと、私への態度も大きく変わるよね。名前も忘れられているかもしれない。


 私は、セントプレスという街を知らない。とりあえず、転移屋の場所を聞いて、ジュエンに帰ろう。



「ケイトさん、ウィルさんの軽食を持ってきましたー。ん? 新たな子ですか? でも変な魅了魔法を放ってるから、主人公かな。子供に主人公をさせるとは、考えましたね」


「違いますよ。彼女は、ウィルさんが保護した主人公です。強制転移に巻き込まれただけですよ」


 弁当を持ってきた男性には、見覚えがあった。ルナシティで、ウィルの護衛をしていた一人だ。私にはわからない話をしてるけど、聞かない方が良さそう。


「へぇ、例の件の被害者ですか。保護ってことは、未遂なのかな」


「私は何も伺っていません。変なことばかり言っていると、ウィルさんに研究室に送り返されますよ?」


「ケイトさんはキツイですねー、相変わらず」


 さらに男性が二人、控え室に入ってきた。もう、私は帰る方がいいよね。




「ケイトさん、私はそろそろ失礼しますね」


 私が立ち上がると、ウィルがシャワーを終えて、出てきた。ひゃー、バスローブ姿だ。色っぽい!


「は? オモチは何を失礼するって?」


 聞かれてた!


「ウィルさん、お疲れ様でした。私は、モニターで公演を見せてもらったし、そろそろ帰ろうかと……」


「帰るのは、失礼だよ」


「へ? えーっと、あ、保護してくれて、ありがとうございました。次のミッションは、フレンドさんに相談してみるので……」


「は? あぁ、俺とフレンド登録をしたいと言ってるのか? 悪いが、それはできない。運営側に見張られるし、何より居場所を知られるのは、互いのために危険だからな」


 ウィルは話しながら、お弁当を食べ始めた。そっか、忙しいんだよね。後から入ってきた男性二人とは、何かの打ち合わせをしている。話しかけるのは迷惑だよね。




「ケイト、オモチにもスタッフのパーカーを用意してくれ」


 スタッフのパーカー?


「ウィルさん、ちゃんと説明してくれるかしら? なぜ、主人公をスタッフ扱いするの?」


「さっきも言っただろ? 今夜のショーをオモチに見せるためだ。次のミッションだからな」


「それはオモチさんのミッションでしょ? なぜ、ウィルさんが手伝うのよ。まさかとは思うけど、この子も、アナタの子なの?」


 ケイトさんの意味不明な質問に、ウィルは食べる手を止めた。


「オモチに話したのか?」


「何も話してないけど、彼がそれらしき話をしたわよ」


 ウィルは、大きなため息を吐いた。だけど、怒っているようには見えないけど。



「オモチ、頭の中が大混乱してるんだな? それで帰ると言い出したのか」


「えっ、いえ、そういうプライベートな話は、聞かないことにしていますから、大丈夫ですよ。もうゲームの恋人時間は、終わりましたし……」


「オモチのそういう所が、ムカつくんだよ!!」


 また、怒った。他のスタッフの人達が凍りついてるよ。


「ウィルさん、私は……ひぇ! なぜ輪っかを作るんですか!」


 ウィルは、人差し指と親指で、デコピンの用意をしている。


「俺のことを、さん付けしたからだ。オモチは、悪役令嬢が言っていた作戦を、途中で放り出すのか? ふざけんなよ!」


「ちょ、スタッフさん達が困ってるじゃないですか。でも、ウィルは忙しいから……」


「オモチがスタッフをしないなら、俺はコンセプトカフェ巡りをキャンセルするぞ」


 ウィルが変なことを言い出すから、スタッフさん達が慌ててるよ。



「オモチさん、やはり、貴女はウィルさんの娘なんですね。私の妹ってことかな。よろしくお願いしますね」


「へ? ケイトさん、何の話ですか?」


 私が首を傾げると、ケイトさんも首を傾げている。どう見ても、ウィルとケイトさんは、同世代に見えるけど、ウィルの娘なの?


「ケイト、オモチは俺の子じゃない。アース星から来た主人公だ。あーあ、バレたじゃねぇか。俺がバラしたんじゃないからな」


 冷静沈着なケイトさんは、初めて慌てた表情を見せた。そうか、赤ん坊も数日で生まれるって聞いたっけ。成長が早いのね。メイロ星からの移住は、確か7年くらい前だと聞いたから、ケイトさんは、7歳? それにしては、しっかりしてるな。




「オモチさん、スタッフのパーカーです。主人公の魅了魔法を抑えることができますから、着てください」


「あ、は、はい」


 気まずい雰囲気だけど、主人公の魅了魔法のせいで、話しにくいのかな。私は、スタッフのパーカーを着た。



「オモチ、疑問に思っているだろうから、話しておく。ケイトは、俺とケイトの娘なんだよ」


「ん? ケイトさんは、お母さんと同じ名前なんですか?」


「あぁ、俺の恋人は、すぐに殺されるからな。ケイトと付き合ってすぐに子を作った。目の前にいるケイトは、俺の娘であり、恋人でもある。もう恋人のケイトの記憶は、だいぶ消えてしまったみたいだけどな」


「えっ? 娘で恋人?」


「娘が1歳になる前に、ケイトの魂が娘の身体に入ったんだよ。それで、身体が急成長した。見た目は違うが、中身は完全にケイトだったんだ。だけど魂が融合していくにつれて、娘の人格の方に置き換わってきた。まぁ、そういうものだから、仕方ない」


 ちょっと待って? 意味がわからない。娘さんの身体に、母親の魂が入ったってこと? あっ、この身体はアバターだからか。


 私も、魂だけがこの身体に入っている。器が変わることが、転生だと言っていたっけ。


「じゃあ、恋人のケイトさんが、娘さんに転生したってことですか」


「まぁな。そういうことだ。そろそろ移動するぞ」



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