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46、オモチ、しばらく引きこもる

『フレンド登録しました。マズかったでしょうか』


 私は、ビクビクしながら、シャルルさんにチャットの返信を打った。言い訳を並べても仕方ないから、そのまま送信する。


『ゲームの恋人のいる人に話しかけたのに、悪役じゃないなら、攻略対象かその関係者よ。つまり、メイロ星からの難民だわ。オモチさん達を闇堕ちさせようとしている人とフレンドになってどうするのよ』


 シャルルさんは、やはり怒ってる。


『断り切れなかったというか……でも、私がルナシティに行かなければ、会うこともないですし』


『まぁ、もう既に、怪しい人達も、初日にフレンド登録しただろうから、今更という気はするけどね。しばらくは、おとなしくしておく方がいいわ』


『わかりました。今度こそ、引きこもっておきます』



 シャルルさんとのチャットを終えた私は、フレンドになったレオンさんの居場所を、確認してみた。ルナシティの王城にいる。やはり、王城で働いているのね。ん? 王城ってことは、王様は居るのかな。


 いろいろと興味が湧いてくる。だけど、シャルルさんもサリィさんも心配してくれているから、彼女達の指示を守ろう。



 私は、フレンドの恋人を開いた。明日の昼過ぎまでの恋人なのに、セルさんの居場所は圏外になっていた。


 転移屋を使って、あちこちの街で地図を入手しようかな? でも単独行動をすると、また心配をかけてしまうか。


 私は夕食に、シエルさんがくれた料理を食べ、食後には、店でもらったクッキーを食べた。


 なんだか、ちょっと浮気しているような気分になる。セルさんは、ただ、ミッションを助けてくれただけなんだろうけど。でも、もっと話したかったな。




 ◇◆◇◆◇




 その翌日から、私は引きこもった。だけど規則正しい生活をしていたと思う。


 朝は少し遅めに起きて、食堂で豪華な朝食を食べ、昼前にチェックアウトと同時に宿泊予約をする。宿泊予約者は、ロビーを自由に使えるから、ご飯の買い出しに行った後は、ロビーで過ごした。そして、チェックイン時刻になると、部屋に入って、遅めの昼食を食べる。


 引きこもっている間は、地図を見ていることが多かった。次第に、私を待ち構えるフレンドさんが減っていった。ホッとする反面、私への興味が薄れていくという寂しさも感じた。


 あのエリーさんという主人公とは、フレンドじゃないけど、彼女がどこにいるかは、地図を見ているとわかる。


 他に娯楽がないから、地図を見てしまうのかな。フレンドを示す点が動いていくのは、ずっと見ていられる。


 シエルさんとサリィさんは、毎日チャットをくれた。引きこもり作戦を考えたサリィさんは、シエルさんにも私の暇つぶしを命じていたのかも。



 ミッションを見ると、日付けが変わるたびに、達成済みが減っていくことに、少し焦りを感じる。やはり、この仕様って、主人公を焦らせるためなのね。



【ミッション16】未達成

 コンセプトカフェに行こう!

(残り6日23時間55分)


【ミッション10】恋人を作ろう!

【ミッション11】夕焼けに染まる湖を見に行こう!

【ミッション12】酒場に行こう!

【ミッション13】ショー劇場に行こう!

【ミッション14】看板通りに行こう!

【ミッション15】恋人を作ろう!



 あっ、日付けが変わった。そろそろ大丈夫かな。明日は、外に出てみようか。セルさんも、再登録禁止期間が終わったはずだもの。




 ◇◇◇



 翌朝、いつものように、遅めの朝食を食べて、時間ギリギリにチェックアウトをした。そして同時に宿泊予約もする。


 私が引きこもっていることは、宿屋の人達にも、すっかりバレているみたい。今日はロビーがいっぱいだから、補助椅子を出そうとしてくれている。


「あっ、今日は、ちょっと出歩いてみるので、大丈夫です」


「そう、ですか? 主人公の方々は、ときどき怖い思いをされることもあると存じます。遠慮なさらないでくださいね」


 私がビビりだと知られているみたい。話したことのない従業員さんにまで、完璧な引き継ぎができている。さすが、高級な宿屋ね。


「はい、ありがとうございます」


 私は、少し申し訳なく感じていた。引きこもり作戦を実行していたのに、従業員さん達は、私が嫌な思いをしたから怖くて引きこもっている、と思ったみたい。




 私は、買い物に行く店とは逆方向へ、歩いて行った。とりあえず、コンセプトカフェに行って、昼食を食べて、ミッションをクリアしたい。


「オモチさん、久しぶりね。どこに行くの?」


 後ろから声をかけられて振り返ると、少し雰囲気の変わったラムネさんがいた。


「ラムネさん、久しぶりですね。シャールくんに会いに行こうって言ってたのに、何かあったんですか?」


 私との約束をすっぽかしたことを、彼女は忘れていたみたい。シャルルさんが来てくれなかったら、私はいつまで待っていたか、わからない。



「あー! そっか、一斉チャットで誰かにお願いしようとしたんだけど、伝わらなかった? ごめんね」


「いえ、昼頃に知らせに来てくれた人がいたので、来られないことは、わかりましたけど」


「そうなんだー。あはは、昼まで待ってたのね。ごめんね」


 ラムネさんは謝ってくれたけど、なんだかヘラヘラしてるようにも見えた。



「じゃあ、私は、ミッションをやるので……」


「何? 手伝うよ?」


「コンセプトカフェに行くだけだから」


「じゃあ、一緒に行こう! お詫びに、ランチをおごらせてよ。どの店にする?」


「いえ、私は一人で『月の世界の王子様』のコンセプトカフェに行くつもりだったんです。オモチさんは、知らないゲームですよね。だから……」


「わかった! 行こうよ」


 えっ? 断ったつもりなんだけどな。



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