107、まさかの計測方法
「オモチさん、本当によかった! やっぱり私の第一予想が当たってたー。嬉しい〜」
レストランの奥の席には、シエルさんが作った和食が並んでいた。私のお疲れ様会という形で、集まっていた人達で、遅めの夕食を食べることになった。
ウィルは、悔しそうに苦笑いしてる。シエルさんは、ミッションのことよりも、和食の評価が気になるみたい。セルさんは、少し居心地が悪そう。
そして、サリィさんはいつも通りのハイテンション。シャルルさんも、ビンゴクリアで笑顔だから、私の作り笑いには気づいてないみたい。
私は、必死に笑顔を作りながら、モヤモヤを抑え込んだ。
「オモチさん、アース星に帰る手続きをしておきましょう。いつ帰るか、考えてあるかしら?」
食事が終わると、シャルルさんが私の横に移動してきた。最後まで世話をしてくれるつもりみたい。
「えっと、あと4日ありますし、最終日にしようと思ってます」
「そう。じゃあ、その通りにメールしてくれる? 6時間前までにというのは、最後の罠なのよ。手続きが遅れて、帰れなくなった人もいるわ。最終日に帰ると知らせておけば、運営側は期限切れが使えないもの」
「わかりました。あっ、もし手続き遅れで帰れなくなったら、シャルルさんのビンゴは……」
「私の方は影響を受けないわ。もう、ロッコロッコ星に帰る手続きはしたわよ。仮予約もしてあったから、運営から承諾メールが来たわ。私の場合は、引き継ぎがあるから、帰るのは30日後なんだけどね」
私は、シャルルさんに促されて、メールを打った。そして、シャルルさんが確認し、送信。
「じゃあ、オモチさんが帰るまでの4日間は、選ばれたセルシードさんが、彼女の護衛をすればいいわねー。二人のメモリーって、全然ないんだもの」
サリィさんは、よくチェックしてる。
「わかりました。オモチが帰るまでは、俺も街にいるから、必要なときは護衛しますよ」
必要なときは、って……。
「そうね。シャルルさんと挨拶まわりをするときは、セルシードさんが居なくても大丈夫ね。都合の悪いときは、シエルさんを派遣するよー」
サリィさんは、シエルさんにも気遣ってる。もしかして、私が期限までいることで、皆さんに迷惑をかけてしまうのかな。
「日付が変わったねー。セルシードさん、オモチさんを送ってあげてねー。きゃっ」
きゃって、何? サリィさんは、また顔が赤い。リアルな乙女ゲームを見ている気分なのかな。
「じゃあ、オモチ、送っていくよ」
「は、はい。皆さん、ありがとうございました!」
私は、まるで子供のような挨拶しかできなかった。モヤモヤが大きくなっていて、その感情を隠すことに集中していたからかな。
◇◇◇
「オモチ、たいした距離じゃないから、歩くか」
そう言ってセルさんは、腕を自分の腰に当ててる。腕を組まないかというお誘い? いや、まさかね。
「はい。あの、明日の朝は、ロッコロッコ星の料理の番だと思うんですけど、セルさんはどこかに家を借りてるんですか?」
「いや、特に借りてないよ。オモチ、一応確認するが、俺を誘ってるのか? 宿屋ノームは連れ込み禁止だぜ」
「へ? そういうお誘いじゃなくて、豪華な朝食を一緒に食べれたらなって思ったんです。私、まだロッコロッコ星の料理の食べ方のコツがつかめないから、見学したいなって」
私が慌てて否定すると、セルさんはケラケラと笑った。
「やっぱりオモチはオモチだな。いいぜ。街を離れると、美味い朝食を食べる機会が減るからな」
セルさんと一緒に宿屋ノームに入っていくと、彼はすぐに部屋を借りた。私とは階が違う。宿屋ノームは、こういう点を徹底してるよね。
「オモチ、明日の朝は、10時でいいか?」
「はい、じゃあ10時に食堂で。あっ、食堂は二つあるんですけど、えーっと……」
「ふっ、アース星の料理をメインに出している店だろ? もう一方では、ロッコロッコ星の料理は出さない」
「ご存知でしたか。あっ、当然ですね。この宿を教えてくれたのは、セルさんですし」
「まぁな。じゃ、明日の朝、寝坊するなよ?」
セルさんは、手をふらっとあげると、階段を上がって行った。絶対に、寝坊はできない!
◇◆◇◆◇
翌朝、かなり早くに目が覚めた。シャワーを浴びながら、今日をどう過ごそうかと考えていると、ドキドキしてくる。セルさんが護衛してくれるってことは、デートよね?
髪を乾かし、服を出そうと携帯機を開くと、メールの返信が来ていることに気づいた。そういえば、昨夜の問い合わせの返信はまだ見てなかったな。
『オモチ様、お帰りの日を滞在期限の最終日として、予約手続きを完了しました。最終日の夜7時までに、ラグ塔の飛行船発着場にお越しください。なお、時間に遅れた場合や、それまでの期間に闇落ちされますと、お帰りいただけなくなりますので、お気をつけください』
ラグ塔なら、転移屋で行けるよね。時間厳守なんだな。宇宙船の発着時間があるのかな。
あれ? もう一通ある。
『オモチ様、測定アプリの計測方法をお伝えします。測定アプリを開いて、ご確認をお願いします』
メールじゃダメなの? あー、他の人には見えない仕様は、測定アプリだけなのかも。
私は、測定アプリを開いた。
【測定対象】
● セルシード:95%
● シエル : 20%
● ウィル : 65%
*測定済み。確定値です。計測方法は、測定対象者の貴女への依存度です。今回は、貴女の計測はしておりません。貴女を必要としている度合いを測定しました。
(指標の目安)
10〜20%: 友達
20〜35%: 好意
35〜50%: 恋愛対象
50〜70%: 依存傾向が強い
70〜90%: 完全に依存
えっ? 95%がないよ。依存度って……彼を測ったってこと? セルさんは、私を必要としてるの?




