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106/122

106、測定結果とモヤモヤ

「じゃあ、見てみます」


 私は携帯機を取り出し、測定アプリを開く。



【測定対象】

 ● セルシード:95%

 ● シエル : 20%

 ● ウィル : 65%


 *測定済み。確定値です。測定方法を知りたい場合は、すべての主人公ミッションを完了してください。



「えっ? 嘘っ! 昨夜とは違う」


「オモチさん、文字化けしてるから、私達には見えないのよ。差し支えなければ、1位の人が何%か、教えてくれないかしら」


 シャルルさんはそう言ってるけど、サリィさんは反応が違う。両手で口を押さえて、なぜか少し顔が赤い。


 もしかしたら、サリィさんには見えているのかな。


「1位の人は、95%です」


「まぁっ! あら? 目安の指標が消えているわね。そもそも50%までしか書かれてなかったけど」


「50%以上は非公開らしいよー。しかし、95%かぁ〜。すごぉお〜。あっ、オモチさん、行ってきてちょうだい。ミッション完了したら、彼を連れて戻ってくるのよ?」


 サリィさんは、やはり見えている? 行ってきてって……シエルさんではないことを、もう暴露してる。


「はい、行ってきます」


 私は、手が緊張で冷たくなっていた。


「場所は、わかるかしら? セルシードさんは、出て右奥の会議室だよ」


「ええっ? セルシード?」


 シャルルさんが、変な声を出してる。いや、うん、はい、すみません。


 目を見開いているシャルルさんに、軽く会釈をして、私はレストランの外に出た。




 ◇◇◇




 会議室の前には、護衛らしき人がいた。私が近寄っていくと、軽く一礼して、扉の前から横に動いてくれた。


 そっか、ここは、サリィさんの国に人達の専用会議室だっけ。知らない人がたくさんいるのかも。



 コンコンとノックをしてから、私は扉を開いた。


「オモチさん、こんばんは。結果は出ましたか?」


 豪華な部屋だ。一気に緊張してしまう。しかも、なぜ、オルフルさんがいるの?


「はい、出ました」


「拝見しても?」


 ん? 本人以外は、文字化けして見えないんじゃないの? でもサリィさんには見えてる感じだったし、オルフルさんは、そもそも開発者だよね。


「どうぞ」


 私は携帯機を見せた。すると、オルフルさんが少しだけ目を見開いたように見えた。


「ほう? この数値は珍しい。何を測定したのだろう? あぁ、先にミッションですね。あちらの小会議室で待ってもらっていますよ。お守りを持ってくださいね」


 オルフルさんは、そう言うと、会議室の外へ出て行った。気を遣ってくれたのかな。


 そういえば、告白には、お守りが必要だっけ? 私は、注意書きを確認する。恋のお守りを持つのね。


 私は、倉庫アプリを開いて、クリスタルショップで買った、恋のお守りを取り出した。




 コンコン!


 小会議室の扉をノックすると、中にいる人が動く気配がした。私が開けるより前に、扉が開かれた。


「えっ、オモチ? なぜ……」


 こんなに驚いた顔のセルさんは、初めて見たよ。


「測定結果が出たから来ました。あの……」


 ダメだぁ。言葉が出てこない。


「へぇ、俺が1位だったのか。まさかの結果だな」


「はい。えっと、これをどうすればいいかわからないのですが、受け取ってください? かな?」


「あはは、なんだ、そりゃ。だが、嬉しいよ。良い思い出になった。ありがとうな、オモチ」


 セルさんは、私が持つお守りに触れた。


 ええっ!? すっごい光。お守りからは、真っ白な強い光が放たれた。



「うわっ、恥ずかしいな、これは。まるでガキの頃に戻ったような感覚になる」


「光ったからですか?」


「あぁ、これは、ロッコロッコ星で流行ってたんだよ。想いを込めて渡すと、輝くクリスタルだ。白い光は、純粋に想う気持ちだったかな。強く光ったのは、それに対する答えだよ。俺達のような魔導士は、口下手なんだ」


「えっ? ということは、セルさんは……」


 私のことが好き?


「ふっ、純粋にオモチをアース星に帰してやりたいと願っていた。だから、強い光で応えたのだろう。ありがとうな。このお守りは、大切にする」


「はい、あっ、私、何も告白してないけど……えーっと」


 私への恋愛感情はないんだ。やっぱり、セルさんは過去に囚われている。何か言わなきゃ! このままだと絶対に後悔する。



「携帯機を見てみな。ミッション完了になっているはずだ」


 セルさんにそう言われて、私はモヤモヤしながら、携帯機を操作した。告白って、もっといろんな展開が待ってるんじゃないの? お守りを渡しただけなのに……。



 ミッション達成、おめでとう!


【ミッション26】看板通りに行こう!

【ミッション27】花壇のある公園に行こう!

【ミッション28】ビンゴを1枚クリアしよう!

【ミッション29】恋人だった人に挨拶に行こう!

【ミッション30】恋をした人に告白しよう!


 故郷の星へ帰る場合は、滞在期間終了の6時間前までに、メールにて手続きをお願いします。

(残り滞在期間:4日1時間26分)



 これだけでいいんだ。あまりにもひどいよ。


「ミッション達成されていました」


 私は、携帯機をセルさんに見せた。彼は、ホッとした柔らかな笑みを浮かべてくれた。


「よし! じゃあ、レストランに報告に行くか」


「はい……」


 セルさんは、また、先に行ってしまう。すごく緊張したのに、これで終わりなの? 全然スッキリしない。せっかく覚悟を決めたはずなのに、ちゃんと伝えられてない。でも、セルさんに気持ちを打ち明けると、迷惑になるのかな。


 モヤモヤしながら、私はセルさんの背中を追いかけた。




 ◇◇◇




「オモチさん! ミッション完了おめでとう! 私の方も、ビンゴ10枚目がクリアできたわ」


 シャルルさんが、すっごく嬉しそう。


「ありがとうございます。皆さんに助けてもらったおかげです」


 私は必死に笑顔を作り、まるで定型文のような返事しかできなかった。



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