9話目
描きたい話までやっと来れました。話のながれ、説明しつつの会話と地の文、ストーリーを崩さないようにバランスを取りながらって難しいですね。。
構成とかもっと勉強します。
誰も動かなかった。
崩れた高架道路の裏側。そこに張り付いていた“それ”は、明らかに異質だった。
細長い四肢。黒く痩せた身体。顔らしき部分の中央に、白い一本線だけが走っている。
人に近い。だが、人ではない。それが余計に気味が悪かった。
「……新種?」
アヤメの声から余裕が消える。
『周囲のマガツキ反応は継続しています!』
ミヤがレーダーを確認しながら声を上げた。
『中型反応7……でも』
一瞬、言葉が止まる。
『その個体だけ反応がありません』
「は?」
ハヤテが眉を寄せる。
『皆さんの視点映像では確認できています! ですがレーダーに映ってません!』
嫌な沈黙が落ちた。シドウだけが静かに目を細める。
「……レーダー外個体か」
「知ってんのか?」
「昔、報告書でな。俺も見るのは初めてだ」
その瞬間だった。人型が消える。
「ッ!」
嫌な感覚が背筋を走る。反射的にハヤテが横へ飛んだ。直後、轟音。さっきまで立っていた場所が砕け散る。
「こいつっ?!」
土煙の中。人型の腕がコンクリートへ深々と突き刺さっていた。
細い腕。だが、砕けた地面は爆撃跡みたいに陥没している。
ゆっくりと、“顔”がこちらを向いた。白線だけの顔。目も無い。口も無い。
なのに、見られている感覚だけがあった。
──ザザッ。
耳障りなノイズが漏れる。
「やっぱ気持ち悪ぃな……」
ハヤテが双剣を構え直した。その瞬間。
「ガァアアア!!」
左右の廃ビルからサルガミが飛び出した。
「来たぞ!」
ハヤテが踏み込む。一体目。首を裂く。返す刃で二体目の脚を断つ。
だが。
「ッ!」
三体目が死角から飛び込んできた。
咄嗟に左の剣で受け止める。鈍い衝撃。代用品の剣が軋んだ。
「チッ!」
その隙を狙うように、更に二体。ハヤテが後退しかけた瞬間、銃声が響く。
一体の頭部が弾け飛んだ。
『前見て!』
「助かる!」
アヤメの援護。その横をシドウが前進する。
「邪魔だ」
大剣が振るわれた。空気が唸る。次の瞬間、サルガミ二体まとめて吹き飛んだ。
壁へ叩き付けられた衝撃で、コンクリートに蜘蛛の巣状の亀裂が走る。
「相変わらず馬鹿火力……!」
「細かいのは面倒だ」
だが、その直後。
『待って……まだ来ます!』
ミヤの声。レーダー上で反応が増える。周囲の路地。崩落した地下鉄入口。ビルの窓。黒い影が次々と現れた。
「多すぎだろ……!」
サルガミだけじゃない。イヌガミまで混じっている。
しかも妙だった。普段みたいな一直線の突撃じゃない。
建物を伝い、回り込み、距離を測るみたいに動いている。
『……変です』
ミヤの声が小さくなる。
「何がだ」
『集まり方が……』
最後まで言い切る前に。
「上!」
アヤメの警告。人型が落ちてきた。一直線、速い。
サルガミとは比較にならない。咄嗟に右の剣で受ける。凄まじい衝撃。
「ぐッ?!」
ハヤテの身体が弾き飛ばされた。重い。細い身体からは想像できない。まるで鉄塊。追撃。
人型が再び踏み込む。
「舐めんな!」
左の剣で胴を薙ぐ。普通なら両断。
だが、人型は不自然な角度で身体を捻った。刃が僅かに肩を掠める。黒い破片みたいなものが飛び散った。
──ザザザッ。
またノイズ。直後、横から飛び込んできたサルガミを、人型が蹴り飛ばした。
「……は?」
勢いのままサルガミが壁へ叩き付けられる。
潰れた。一瞬、戦場全体の動きが止まる。
敵味方関係なく。人型だけがそこに立っていた。白線だけの顔が、ゆっくりと傾く。
一瞬だけ、その線が歪んだように見えた。
「……なんだ今の」
ハヤテが低く呟く。直後だった。
周囲のマガツキが一斉に後退を始める。
『反応が離れていきます!』
「なに……?」
ありえない。マガツキが自ら距離を取るなんて聞いたことがない。
人型は最後までこちらを見ていた。目も無いはずなのに。視線だけが残る。次の瞬間。高架道路の奥へ跳んだ。
「待て!」
ハヤテが踏み込む。だが、崩れた車両の向こうへ回り込んだ瞬間、もういなかった。気配も音も何も残っていない。
ただ、静まり返った高架だけがある。
「……なんだよ、あれ」
誰もすぐには答えられなかった。
何となくですが、繰り返し見てくれている方とかいるようですね。ありがとうございます!引き続きよろしくお願いいたします!!




