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裂界の帰還者  作者: 霞山 大和
遭遇偏
9/33

9話目

描きたい話までやっと来れました。話のながれ、説明しつつの会話と地の文、ストーリーを崩さないようにバランスを取りながらって難しいですね。。

構成とかもっと勉強します。

 誰も動かなかった。

 崩れた高架道路の裏側。そこに張り付いていた“それ”は、明らかに異質だった。

 細長い四肢。黒く痩せた身体。顔らしき部分の中央に、白い一本線だけが走っている。

 人に近い。だが、人ではない。それが余計に気味が悪かった。

「……新種?」

 アヤメの声から余裕が消える。

『周囲のマガツキ反応は継続しています!』

 ミヤがレーダーを確認しながら声を上げた。

『中型反応7……でも』

 一瞬、言葉が止まる。

『その個体だけ反応がありません』

「は?」

 ハヤテが眉を寄せる。

『皆さんの視点映像では確認できています! ですがレーダーに映ってません!』

 嫌な沈黙が落ちた。シドウだけが静かに目を細める。

「……レーダー外個体か」

「知ってんのか?」

「昔、報告書でな。俺も見るのは初めてだ」

 その瞬間だった。人型が消える。

「ッ!」

 嫌な感覚が背筋を走る。反射的にハヤテが横へ飛んだ。直後、轟音。さっきまで立っていた場所が砕け散る。

「こいつっ?!」

 土煙の中。人型の腕がコンクリートへ深々と突き刺さっていた。

 細い腕。だが、砕けた地面は爆撃跡みたいに陥没している。

 ゆっくりと、“顔”がこちらを向いた。白線だけの顔。目も無い。口も無い。

 なのに、見られている感覚だけがあった。

 ──ザザッ。

 耳障りなノイズが漏れる。

「やっぱ気持ち悪ぃな……」

 ハヤテが双剣を構え直した。その瞬間。

「ガァアアア!!」

 左右の廃ビルからサルガミが飛び出した。

「来たぞ!」

 ハヤテが踏み込む。一体目。首を裂く。返す刃で二体目の脚を断つ。

 だが。

「ッ!」

 三体目が死角から飛び込んできた。

 咄嗟に左の剣で受け止める。鈍い衝撃。代用品の剣が軋んだ。

「チッ!」

 その隙を狙うように、更に二体。ハヤテが後退しかけた瞬間、銃声が響く。

 一体の頭部が弾け飛んだ。

『前見て!』

「助かる!」

 アヤメの援護。その横をシドウが前進する。

「邪魔だ」

 大剣が振るわれた。空気が唸る。次の瞬間、サルガミ二体まとめて吹き飛んだ。

 壁へ叩き付けられた衝撃で、コンクリートに蜘蛛の巣状の亀裂が走る。

「相変わらず馬鹿火力……!」

「細かいのは面倒だ」

 だが、その直後。

『待って……まだ来ます!』

 ミヤの声。レーダー上で反応が増える。周囲の路地。崩落した地下鉄入口。ビルの窓。黒い影が次々と現れた。

「多すぎだろ……!」

 サルガミだけじゃない。イヌガミまで混じっている。

 しかも妙だった。普段みたいな一直線の突撃じゃない。

 建物を伝い、回り込み、距離を測るみたいに動いている。

『……変です』

 ミヤの声が小さくなる。

「何がだ」

『集まり方が……』

 最後まで言い切る前に。

「上!」

 アヤメの警告。人型が落ちてきた。一直線、速い。

 サルガミとは比較にならない。咄嗟に右の剣で受ける。凄まじい衝撃。

「ぐッ?!」

 ハヤテの身体が弾き飛ばされた。重い。細い身体からは想像できない。まるで鉄塊。追撃。

 人型が再び踏み込む。

「舐めんな!」

 左の剣で胴を薙ぐ。普通なら両断。

 だが、人型は不自然な角度で身体を捻った。刃が僅かに肩を掠める。黒い破片みたいなものが飛び散った。

 ──ザザザッ。

 またノイズ。直後、横から飛び込んできたサルガミを、人型が蹴り飛ばした。

「……は?」

 勢いのままサルガミが壁へ叩き付けられる。

 潰れた。一瞬、戦場全体の動きが止まる。

 敵味方関係なく。人型だけがそこに立っていた。白線だけの顔が、ゆっくりと傾く。

 一瞬だけ、その線が歪んだように見えた。

「……なんだ今の」

 ハヤテが低く呟く。直後だった。

 周囲のマガツキが一斉に後退を始める。

『反応が離れていきます!』

「なに……?」

 ありえない。マガツキが自ら距離を取るなんて聞いたことがない。

 人型は最後までこちらを見ていた。目も無いはずなのに。視線だけが残る。次の瞬間。高架道路の奥へ跳んだ。

「待て!」

 ハヤテが踏み込む。だが、崩れた車両の向こうへ回り込んだ瞬間、もういなかった。気配も音も何も残っていない。

 ただ、静まり返った高架だけがある。

「……なんだよ、あれ」

 誰もすぐには答えられなかった。

何となくですが、繰り返し見てくれている方とかいるようですね。ありがとうございます!引き続きよろしくお願いいたします!!

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