3話目
3話目ですー。頑張って書いていきます!
目の前に迫る火柱を蹴り抜く。
炎が左右へ散った。その向こう。
頭部を燃やしたサルガミが咆哮する。
「軽いな」
踏み込み、蹴る。
巨体が横へ吹き飛び、アスファルトを削りながら転がった。
普通の人間ならあり得ない光景だ。
だが今のハンターならできる。
薬剤投与に肉体改造。適性者だけに施される人体強化。
その代償に寿命を削りながら、人類はようやくマガツと戦えるようになった。
「便利な体だろ」
剣を肩へ担ぐ。
「長持ちしないらしいけどな」
振り下ろそうとして。反射的に飛び退く。
青白い閃光が地面を焼いた。
「……来たか」
視線の先。犬にも人にも見える異形。
全身を走る雷光。
ライジュウ。そしてその経立。本来なら一部隊案件だ。
『大型反応確認!』
通信越しに慌てた声が飛ぶ。
『ライジュウを確認しました! 危険度Bクラスです!』
「見れば分かる」
『撤退を推奨します!』
「無理だろ」
苦笑する。
「逃げる方が危ねぇ」
ライジュウの強みは速度だ。背中を向けた時点で狩られる。
なら、正面から潰す。
「グルルル……」
低い唸り。
ライジュウは動かない。こちらを観察している。
その姿に違和感を覚えた。
「……賢いな」
普通のマガツなら飛び掛かってくる。
だがコイツは待っている。
隙を。最適解を。まるで狩人みたいに。
『ハヤテさん』
「あ?」
『ライジュウだけじゃありません』
通信の声が硬い。
『周囲のサルガミの動きが変です』
言われて視線を流す。
確かに。囲んでいる。
飛び込んでこない。距離を保ちながら、逃げ道を塞ぐように。
「……面倒だな」
ライジュウが前。
サルガミが周囲。
完全に包囲されていた。
『撤退を――』
「無理だって言ってるだろ」
ため息。
「それに」
双剣を構える。
「これくらいなら何とかなる」
『全然何とかならない状況です!』
悲鳴みたいな返事。
少し笑った。その瞬間。ライジュウが消えた。
「ッ!」
横、爪、認識して剣を滑り込ませる。火花が散る。
重い。予想以上に力がある。
「経立化でここまで上がるか」
踏み込む。反撃。首を狙う。
しかし、ライジュウは半歩だけ下がった。
避けた。
「は?」
思わず漏れる声。今のを避けるか。
なら、もう一度。
連撃。
肩。
脇。
足。
全て躱される。
紙一重で。
『当たらない……?』
通信越しにも驚愕が混じる。
「いや」
ハヤテは目を細めた。
「読まれてる」
瞬間。
背後からサルガミ。
振り向きざまに首を斬る。
返す刃で二体目。
血が飛ぶ。
だが、その隙をライジュウの雷撃が襲う。
「チッ!」
右手の剣を振る。
発散。
雷が左右へ弾けた。
しかし完全には防げない。
腕が痺れる。
筋肉が硬直する。
「面倒だな……!」
ライジュウが踏み込む。
サルガミが回り込む。
包囲が狭まる。
まずい。
想定以上だ。
ライジュウ単体なら勝てる。
サルガミだけでも問題ない。
だが。
この組み合わせは厄介だった。
『ハヤテさん!』
「聞こえてる!」
『応援部隊の到着まで七分です!』
「長ぇな!」
七分。
この相手に。
長すぎる。
ライジュウが口を開く。
雷光が集まる。
同時。
サルガミが飛び込む。
「なるほどな」
笑った。
「そういうことか」
完全に理解した。
ライジュウが本命。
サルガミは盾。
時間を稼ぎ。
隙を作るための駒。
なら。
「先に潰す」
狙いを決める。
サルガミは無視。
被弾覚悟。
一直線。
ライジュウへ。
『待ってください!』
「無理!」
地面が砕ける。
加速。
さらに加速。
ライジュウの目が見開かれる。
「捕まえた」
左手の剣。
刺突。
一直線。
ライジュウが避ける。
だが。
読んでいた。
肩。
貫通。
「グルァアアア!!」
悲鳴。
だが浅い。
致命傷には遠い。
「クソ、足りねぇ」
その瞬間だった。
頭上。
眩い光。
ライジュウの雷撃。
そして。
背後から迫るサルガミの拳。
完全な挟撃。
避けられない。
直感が告げる。
ここで温存したら死ぬ。
「仕方ねぇな」
腰の武器へ触れる。
エストック。
まだ試験段階の武器。
本来の使い方じゃない。
だが。
生き残るためなら関係ない。
『何を――』
「爆ぜろ」
エストックが白く輝く。
限界を超えて。
暴走する。
次の瞬間。
凄まじい爆発が周囲を呑み込んだ。
ライジュウ。
サルガミ。
そしてハヤテ自身を巻き込みながら。
視界が白く染まる。
衝撃。
轟音。
そして。
意識が暗闇へ沈んでいった。
ありがとうございます!誤字脱字は気がついたら直しておきます




