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第5話 赤い正装と青い鱗

ササーン神聖帝国

数学と幾何学を信仰する魚尾種の神権国家、宇宙嵐の影響で大パンテオン家と聖戦士団が独立小戦争状態と問題を抱えているが、この世界最大の勢力


「枢機卿の印である額の『第三の目』はこのように描きます。この出来なら誰も疑問を持たないでしょう。」


枢機卿の頭飾りを確認する。


描かれた複雑な幾何学模様の中央には、小さなカメラが隠されていた。


「体色の偽装装置の調整も完了しました。」


別の担当者が報告する。


「タンジル・モクルール神聖枢機卿の容姿を再現、鱗の色は通常の魚尾種よりも深い青に調整しています。これは深海瞑想から戻った証として納得されるでしょう。」


魚尾種の少女タンジル・モクルール、ササーン神聖帝国の神聖枢機卿、政治的な理由から身の安全のため『宇宙数学の深淵を探る瞑想』と言う名目で3か月前から深海聖域へ潜行、表舞台に現れる事無く後に死亡が確認される。


「死人に口なし、ササーン神聖帝国に影響力を伸ばす為にもしばらく名前を使わせてもらいます。」


自分に言い聞かせるようにつぶやく。


「改めて確認しますが、ササーン神聖帝国の話し方としてはイメージの共有として聖典の詩や表現で締める事を意識します。」


周囲のアシスタントと共にアンルール情報参謀は最終チェックを行う。


「オーナーさんは関西人が会話の最後にオチを付ける様な物かと言ってましたがわかる人居ます?いませんね、この時代によく使われてる表現はあらかじめ共有したので、魚尾人の方は気を付けてください。」


アンルールもまた情報参謀に登りつめた人間であり女だった、華麗な衣装に身を包み荘厳な雰囲気を纏っている。


彼女の青い肌は神秘的な深海の色に変わり、首のヒレも複雑な模様で飾られていた。


「各センサー正常。通信装置機能確認済み。システムオールグリーン。」


「最後に機材チェックです。」


リアムがタブレットを操作する。


「準備が整いました。」


誰が言ったのかその言葉に、部屋にいた全員が静かに頷いた。


ササーン神聖帝国辺境「第三象限第七螺旋区画」行政本部。


金と青で装飾された堂々たる建物の前に、華麗な小型宇宙船が着陸した。青い制服を着た警備隊が整列し、厳かな音楽が鳴り響く。


船のハッチが開き、赤い衣装に身を包んだ荘厳な姿が現れた。


「タンジル・モクルール。」


彼女の声は低く、威厳に満ちていた。額の「第三の目」が神秘的に輝いている。


「神聖数学議会の神聖枢機卿、モクルール様のおなーり。」


「深海の瞑想を終え、辺境の視察に参った。行政官ザフラン・サフルルよ、汝の統治を神の名において査察する。」


前に進み出た太った魚尾種の行政官は、明らかに動揺していた。


彼はぎこちなく深々と頭を下げる。


「枢機卿様、このような辺境にお越しいただき、光栄この上ありません。ずいぶん急な来訪でしたが…」


「ええ申し訳なく思います、しかし私が中央で危うい立場である事は貴方も知る事でしょう。神の道は予告なく訪れるとも言います。」


アンルール情報参謀は厳かに言った、その言葉に行政官達は沈黙を貫く。


「さあ、この区画の報告を聞こう。特に、バグワーム領域に隣接する小惑星帯の状況を詳しく知りたい。」


ザフラン行政官は焦りを隠せない様子で頷いた。


「はっ、はい、ただちに会議室を用意させます。」


彼がスタッフに指示を飛ばす間、タンジルは静かに建物を見上げた。


額の「第三の目」のカメラが、すべての映像をバベル要塞へと送信している。


作戦は始まったのだ。

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