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第4話 速度と隊列

バベル要塞から約2000TL離れた外縁宙域。無数の星々が静かに輝く闇の中で、バベル艦隊の最終訓練が行われていた。


戦艦、駆逐艦、そして中央に建設艦その後方に貨物船群が整然と並ぶ。


クロード艦隊指揮官は深く息を吸い、通信機を通して命令を下した。


「全艦、速度をC80(架空の速度単位)に維持!進路変更ポイントまであと50TL(架空の距離単位)!貨物船の姿勢制御システムを確認しろ!」


青白いエネルギー光跡を引きながら、艦隊は密集陣形を保ち、等速で宙域を進む。


後方の貨物船群は、青く輝くトラクタービームで繋がれ、まるで一匹の巨大な宇宙生物のように流れるように動いていた。


「第3貨物船より、トラクタービームの引力低下報告。」


若いオペレーターが緊張した面持ちで報告する。


続けて別のオペレーターも声を上げた。


「第6貨物船より牽引構造に異常発生。エネルギー変動率5%超過。」


クロード指揮官は冷静に対応した。


「確認した、どれも想定内だな。シールド出力とブースターのプログラム調整を再度行え。」


彼の落ち着いた声、多少緊張は混じるが目の前の出来事を順番に対処していく。


「次を試す。エネルギーセル供給量を5%増加、さらに進路変更を行う。」


艦橋前方の巨大スクリーンには、貨物船群が揺れながらも隊列を維持している様子が映し出されていた。


「なんとか安定しているな…」


「再び進路変更点到着!」


副操舵士が報告する。クロードは直ちに命令した。


「全艦旋回!速度を維持しろ!」


艦隊全体が一斉に旋回を開始する。戦艦の巨体がゆっくりと向きを変え、駆逐艦群が柔軟に対応して陣形を保つ。後方の貨物船群も追随するが、その時だった。


「第17貨物船、接続不安定!トラクタービームの出力が乱れています!」


センサー担当が警告を発した。画面には赤い警告表示が点滅し、17番貨物船が陣形からわずかに外れかけている。


クロードは眉一つ動かさず、冷静に指示を出した。


「第4駆逐艦、相対的陣形位置を調整。第17貨物船のエンジン出力を再調整、姿勢変更で耐えられる範囲だ。」


艦橋の全員が息を詰める中、画面上で第4駆逐艦が素早く位置を変え、それに追従する様に貨物船が安定する。


「トラクタービームよし、エンジン出力調整完了、こちら問題ありません。」


報告を聞いて、艦橋内に小さな安堵のため息が広がった。


しばらくしてリアム副官がオーナーに向き直り艦隊からの報告を出す。


「予定通りの訓練シナリオをクリアしました。十分な練度と結果です。」


俺は頷き返事をする。


「ご苦労、補給を終え人員に十分な休息を出してくれ。」


了解と副官が艦隊に通信するのを確認して息を吐く。


訓練終了後、バベル要塞の補給ドックは活気に満ちていた。


巨大なクレーンが動き、作業員たちが忙しく行き交う中、エネルギーセルとバイオ燃料の補給、食料品などの積み込みが進められていた。


「建設艦の整備と検査が終わった、エネルギーセルから順番に補充しろ。」


「7班は俺について来い、4番駆逐艦のエンジンの調子が悪いらしい。」


作業機械が慌ただしく動くなか、オーナーも視察のために現場を訪れていた。作業着姿の技術者たちが敬礼する中、現場責任者から話を聞く。


「どうだ問題なく進んでるか?」


オーナーは補給状況を表示するホログラムに目を通しながら尋ねた。


「順調です。ただ購入した貨物船に少し手間取っていますね、マニュアル化は済んでいるので慣れれさせてと言うところですね。」


「それは良かった、休憩室に差し入れを運ばせておいた皆で分けてくれ。」


「ありがとうございます、作業員たちも喜ぶでしょう。」


「ああそうだな、いよいよか…」


窓の外では、バベル要塞の灯が静かに輝き続けていた。

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