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学校での生活は、あまり思い出したくない。人の密集した教室という場所が、あたしはとにかく大嫌いだった。みんな孤立したくなくて、友達という存在を求めている。
でもあたしは、何気ない会話で盛り上がり、笑い合うことが、とても難しかった。なにを言えば相手が笑ってくれるのか、嫌われずに済むのか、あたしには分からなかった。
話かけられれば素直に答えたけど(「昨日なにしてた?」「感情の行方について考えてた」「え……なに……?」)、から回るばかりだった。次第に話かけられることはなくなり、だからといって自分からちょうどいい距離感で馴染むこともできず、学校の中では自然と浮いた存在となった。
あたしはどうやら、空気が読めない種類の人間らしかったのだ。同じ学級の人たちからは、日々小さな悪意を感じた。少しだけ、悪く言われる。少しだけ、馬鹿にされる。少しだけ、見下される。表面立つ問題には発展しない程度の、遠回りな悪意。そういうものたちは、消化できない異物のように胃の中へ蓄積されていき、きりきりと腹を痛める毒となる。
恐怖。あたしは怖かった。人の悪意を受け取ることが。不意に異物を飲まされることが。いっそのこと意見をぶつけ合い、殴り合いの喧嘩でもした方が、よっぽどすっきりする。正面きって嫌いだって言われた方が、今後の立ち振る舞いを定められる。
でも、誰もそうしようとしなかった。なんとなく孤立していって、なんとなく悪く思われている。クラスメイトとあたしとの間に、薄暗い沼が張っているみたいだった。その沼を渡ってまで近づきたいとは、誰も思わなかったらしい。逆を言えば、そう思わせるだけの魅力が、あたしには備わっていなかったということだ。
でも、
『リースス、友達つくらないの?』
帰るときは、リーススが一緒だった。彼女はあたしと同じように一人だった。だからって、二人で行動することはなかったけど、同じ家に帰るのに、わざわざ別に帰るのもおかしいし。
『私たちに、友達ができると思ってるの?』、リーススは、無表情にそう言っていた。
友達、つくれば良かったじゃない。笑いあって、普通に生きたいって、思ってたくせに。
リースス、生きているのかしら。あたしはあなたと笑いあって過ごせない。だけど、あなたを見つけたい。あなたが、あたしの帰る場所だと思うから。




