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瞳の華音一人占め作戦は、あっけなく破綻

瞳からの「お手伝い申出」を受けた華音は、柔らかな笑顔。

ただ、その答えは慎重にして、穏当なもの。

「はい、それより何より、分類と配置を決めないと、どうにもなりません」

「本もいろんなサイズがありますし」


瞳は、それでも粘る。

「やり方は、華音君に任せる」

「でも、ある程度、目安ができたら、教えて」

本音としては、「今すぐにでも」なのだけど、冷静に考えれば、華音の言う通り、それ以前の段階であることは、瞳もわかっている。



さて、そんな話をしながら、仲良く歩いていた二人に、後ろから声が飛んできた。

「こらーー!瞳!」

振り向かないでもわかる。

その声は沢田文美。


沢田文美の続いて、小川恵美の声もする。

「勝手に一人占めしない!」

「いつもより着替えが早いと思ったら、こういうことなの?」


また沢田文美

「先輩をさしおいて、華音君を一人占めって、何様のつもり?」


雨宮瞳は思った。

「そんな先輩をさしおくとか、そんな気はないって!」

「こういうのは早い者勝ちなの」

「取った者勝なのに」

「あーーー!マジ、うるさい!」

そんなことを思って振り返ると、後ろに迫っているのは、沢田文美と小川恵美だけではない。

テニス部が他に二人、そして剣道部女子も空手部女子もいる。

いずれも二年生の先輩女子。


華音は、ゆっくりと振り向いた。

そして穏やかな笑顔。

「あの・・・何か?」

「用事でもあるのですか?」


その言葉が終わるか終らないかの時。

沢田文美がダッシュしてきた。

そして、「ためらいもなく」、華音の左腕をゲット、組んでしまう。


沢田文美は、超ニッコリ。

そして、ポンポンと話しはじめる。


「ねえ、みんな華音君のファンなの!」

「まあ、私にとっては、ジャマだけどさ!」

「しょうがないから、話をしたいって言うから連れて来たの!」

「恵美ちゃんもそうだけど、剣道部も空手部の子もついて来ちゃった」

「ほんとは、もっとだったけどさ」

「あまり人数が多くても、入り切れないしさ!」


雨宮瞳は、また呆れた。

そして考えた。

「テニス部だけでも、超面倒なのに・・・」

「それに加えて、剣道部と空手部?」

「しかも、全部先輩?」

「・・・って・・・人数多いと入りきれないって・・・何?」

「どこに入るの?」


沢田文美は、そんな瞳の心など、全く関心はない。

「ねえ!華音君!ケーキ食べに行こうよ!」

「みーーーんな、華音君とお話したいって!」

「今日のお昼だって、華音君を囲んで、学食レストランでって、思ったのに、華音君が来ないから、超残念だったの!」


そこまで話して、沢田文美は、ようやく瞳の顔を見た。

「ああ!瞳、華音君は、私たちに任せて」

「帰っていいよ」

沢田文美は、瞳が「ムッとする」ほどの、笑顔を見せている。


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