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第2話 初めての出会い

朝の残りの時間は、あっという間に過ぎていった。


数日前にはもう生徒用ポータルで確認していたから、自分がどのクラスかはわかっていた。


歓迎の挨拶は、正直なにも心に響かなかった。壇上で喋っているのは、たぶん生徒会長。何を言っているのかも、正直どうでもよかった。僕の頭の中は、ただ「彼女」を探すことでいっぱいだった。


「生徒の皆さん。起立して、それぞれの教室へ向かってください」


アナウンスの声で、僕はようやく現実に引き戻された。


教室へと向かい、自分の席を見つける。ちょうど窓際の席だった。すると、僕より少し背の高い、オレンジ色の髪の男子が、後ろの席に腰を下ろした。


彼は僕がちらっと見ているのに気づくと、にやりと笑った。


「おっ、さっそくファン一号かな――」 「その気はないから」


「いや、そういう意味で言ってないから!」


「でも今、ファンって言ったよね……」


「言った意味が違う!ファンってそっちの意味だよ、バカ!」


二人して笑って、落ち着く。


「俺、松田和樹。ここでバスケやろうと思ってて」


「かっこいいな。俺は――一ノ――」


……しまった。


――今、名前を明かすわけにはいかない。


「佐藤蓮。佐藤蓮っていうんだ」


「いい名前だな。バスケやってそうな見た目してるけど」


「昔はやってたけど、今は柔道に専念しようと思ってる」


一瞬の間。


「お前、人に触るの好きなタイプだろ」 「いつ俺がそんなこと言った?!?!」


二人で固まって、また笑った。


「これから仲良くしような」


「うん、よろしく」


――やった。ここでの初めての友達だ!


教室の反対側から声が飛んできた。


「中村くん!ここ受かってたんだ、知らなかった!」


視線を向けると、白髪の男子が友人たちに囲まれて立っていた。何か話していたところで、返事をする。


「うん!俺も自分で受かったの、正直びっくりしてる!」


松田くんが後ろから口を挟む。


「モテる奴は違うねぇ。学年中の女子、全部持ってかれそう」


その言葉に、中村くんがこちらを振り向いた。


「お前がそうやって、俺を特別扱いすんの、いい加減やめろよ」


そう言いながら歩み寄って、松田くんの頭を軽くはたいた。


「痛っ!」


――幼馴染、ってやつか。


「悪いな、コイツがバカなことしてたら」


僕は慌てて両手を上げて、間に入る。「大丈夫!何もされてないから!ただ仲良くなっただけ!」


松田くんが拳を振り上げる。「お前!俺のことバカ呼ばわりしたな!」


僕は少し笑ってしまった。


中村くんが口を開く。


「お前、名前は?」 「佐藤蓮」 「中村海斗。よろしくな、佐藤!」


それから三人で話が弾んだ。中村くんが、松田くんとはライバル校同士で知り合ったこと、コートやグラウンドの上ではよく張り合っていたけど仲がいいことを話してくれた。僕は別の中学出身だということ、そしてここで柔道をやろうと思っていることを伝えた。


「柔道?ちょうど他にも柔道やりたいって新入生、何人かいるぞ!」


「たぶん部活紹介の集まりで会うことになると思う」


松田くんが何か思い出したような顔をした。


「そういえば海斗、サッカー部入るのか?」


中村くんがうなずく。


「入るよ、四年間ずっと続ける。できるだけたくさん結果残すのが目標だ」


「俺も一緒!バスケ部入る!部活紹介って放課後だっけ?」


僕は手を挙げた。


「たしか、二日後くらいだったと思う……とりあえず待つしかないな」


そこへ、金髪の女の子が、もう一人の女の子の手を引きながら教室に入ってきた――


――ちょっと待って。


「葵ちゃん!早く席探そ!」


心臓が跳ねた。


――彼女だ!


窓の向こうにいたあの子が、僕と同じクラスにいた。運命って、時々本当に美しい。


「待ってよ彩音……ちょっと眠いんだって……」


彼女がふと僕に目を留め、二度見した。


その瞳がぱっと輝いた。


「あんた、さっき窓で自分の顔チェックしてた人でしょ??」 「なっ――なななに??」


「やっぱりあんただ!誰にいいところ見せようとしてたの?」


彼女は、もう僕の机の前まで来ていた。


僕は完全に真っ赤になっていた。しどろもどろに言葉を返す。


「い、いや……別に誰でもない!!勘違いだから!」


松田と中村は、笑いをこらえていた。


彼女は少しくすくす笑っていた。なぜだか、彼女が楽しそうにしているのを見て、胸があたたかくなった。


――ドクン。


外にいる男子たちが彼女をちらちら見ていたけれど、彼女はそれをまったく気にしていなかった。


「あんた、名前は?」


「あ……佐藤、蓮……」


「よろしくね!あたし、如月葵!」


僕は顔を赤くしたまま、笑った。「こちらこそ、よろしく」


――そうして、僕たちは知り合いになった。

彼、彼女と話すときはもう少し自信を持った方がいいよね?

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