【00.05:45】
本日二話投稿、こちらが二話目です。
また、いつもより文章が短いです。
錯乱していた彩夏も血を失いすぎた弥生も寝入り、緊張した空気が緩んでいく。
少しだけ緩んだ空気に、裕はそっと息を零す。
この部屋にはもともと裕を除いて九人の人物がいた。凜は動き回るから実質八人か。
それも自衛手段のある有理が探索へついて行き、深淵の犬が出ない今は凜が心配でついて行った明るい性格で嫌な空気を吹き飛ばしてくれる零香、その真逆で不安を煽ることで自分は悦に浸っている優、そして笑と珠惠に頼まれて断れずについて行くことになった紅葉が深淵の犬が出ないようにするための対策を深淵の犬が出ぬ間にしてしまおうとこの部屋から出て行っている。
今現在、一番の戦力と思っていた凜と自衛手段を持っていた有理が負傷し気絶、零香は呆然自失、紅葉もキャパシティーオーバーで混乱中とは思いもしない。
それでも弥生の言葉を聞いて裕は不安に思っている。
だから早く無事に帰ってきてほしいものだ、と部屋から出て行った五人の無事を祈る。
戻ってさえくればここで寝ている二人も紹介できるし、と何気なく部屋を見回し――裕は、あれ、と首を傾げる。
「――なんじゃ、どうした?」
「いえ……えぇっと、なんか、違和感……?」
「……違和感?」
怪訝そうな顔をする初春と、違和感と聞いて笑と珠惠が裕へと視線をよこす。
何が、というのがわからない。
三人の視線を感じながらも思考を巡らせ――五人の無事を祈って、三人の視線しか感じないことに気付く。
――ひとり、たりない……?
だが、誰が?
「――おい、何に気付いた」
顔に出ていたのであろう、違和感の正体を問う初春。
裕は一度息を吐き出し、落ち着く。
もしかしたら、最初に数え間違えただけかもしれない。
――それだけならばこんなに心臓がうるさい訳がないのだが、そんな希望観測に縋りたくもなるのだ。
「人が、一人――いませんよね?」
ただでさえ静かな部屋が、ますます静かになる。
心地の悪い静寂が続く中、初春は首をひねって考え込み――そして、口を開く。
「いや、いなかったぞ?」
その初春の答えに、笑と珠惠も頷き返し、裕の数え間違いなのだろうと珠惠に笑い飛ばされることになる。
だが、裕はモヤモヤとした気持ちを抱えたまま。
――結局、その一人の存在は、裕にしか認識されず――しかし、名前を思い出されることは、なかった。
閲覧ありがとうございます。
次の探索パートは麗月の一人旅(笑)ですよ。




