呼吸②
今回は蓮視点です。
ありがとな、山上。お前に聞いといたおかげで俺はこいつを倒せる!
そして、俺はいつもの呼吸の2倍以上の空気を吸う。
痛い、こんなの日常的にやるなんて確かに無理だ。やりすぎると山上の言っていた通り、ほんとうに肺が裂けそうだ。
でも、今は......今だけは......
次の瞬間、未知のエネルギーによって力がみなぎってくる。これが山上の言っていた『力素』というものなのか、と実感した。
バァン!
俺は地面を蹴る。今までに体感したことがないようなものすごいスピードが出る。
(これなら......、いける! )
俺は今出せる全てのエネルギーを剣に集める。
「これで決める! 『黒剣・フルバースト』! 」
「まずい......、仕方ない......、『抜黒扇』! 」
これまた強力な技だ。黒のエネルギーを放出するのではなく、直接自分の扇の力とするのか。さっきの放出技よりは強力だということで間違いない。しかし......、今の俺は......、いや、今の俺なら......、
扇と剣が衝突する。その技は互角に見えたが、違う。
「おりゃあああーーー!! 」
蓮がマイの扇を飛ばす。
「しまっ......」
慌てて避けようとするが、もう遅かった。
バギィィィン!
蓮によってマイは切りつけられた。そして、トドメの一撃が入り、蓮が勝利すると思われた次の瞬間、
バゴォーン!
気づけば蓮は、何者かに蹴られ、ビルの壁に飛ばされていた。
マイの方を見ると、マイの前に誰かが歩み寄っていた。
「まさか、マイがやられるなんてね......。ほんと、ワルト様の予想通りすぎて逆に疑うよ。君を倒せるやつがこの日本にいるとはね......」
そして、そいつは俺の方を見る。
「やあ! 僕の名はシンジ。我が主ワルト様に仕える幹部のひとり。君すごいね! これは褒めてるんだよ。なにせ、僕が介入しなかったら君がマイを倒していたんだろうからさ! 」
シンジは俺の方を見てそう言う。
(クソ! あと少しで倒せたのに......。てかこいつ......ほんとうに化け物だ! 低く見積ってもマイより圧は2倍以上だ。もう終わりだな。こんなやつまで来てるなんて)
「やらないの? なーんだ。せっかく頑張って来たぶん楽しめると思ったのにな......。やってくれないやつなら......」
次の瞬間ものすごいスピードの光線が来る。
(やばい! )
俺は慌てて避ける。
(こんな武器見たことがない。てか、攻撃手が遠距離攻撃とか反則だろ! )
そんなことを思っていても時間は待ってくれない。
「さあ、頑張って時間をかけてここまで来た僕を楽しませてよ! 」
蓮にとって地獄のもう1ラウンドが始まろうとしていた。




