シンとカミサ③
カミサ視点です。
ーそういえば、シンが軍はお前に向いていないって言っていた理由は何だったんだ? 俺の予想とは違っている気がしてくる。
俺はもうすぐ眠ってしまいそうな頭を無理やり動かして考える。でも考えれば考えるほど体の痛みは大きくなっていく。もうすぐ死んでしまうのだと改めて思い知った。
そのときだった。
ーーバリイイイイイイン!
とても嫌な音が響いた。
空にはガラスが割れた時にできるような「亀裂」が走っている。
そこから出てきたのは、
「久しぶりだね、カミサ。元気に......してなさそうだな」
声と口調でわかった。こいつは......
「シン......なのか? 」
私は信じられないような気分でそいつを見る。
なにせ、そいつの力は低く見積って私の2倍はあったからだ。頭があまり働かないので、自信を持って言うことはできないが......。
「おう、その通りシン......、いや、軍人としての名はシンジだ」
そのとき私の顔は驚愕で染まっただろう。なにせ、シンジという名の者に私は1回負けたのだから。
「じゃあシン、お前はやっぱり......、あの時本気を出していなかったんだな」
あのときとはシンが私に、私は軍人に向いていないと言い、喧嘩になった時だ。
「ああ、まあ、あのときは別にお前を止めようと思っていなかったからな」
「それにしてもお前が『リターン・ギア』の回路を切っても勝てないとはな。てか、お前を倒したやつは?」
「もう全員、『リターン・ギア』で飛んで行ったよ」
「それにしても覚醒したお前を倒すとは......、とんでもない威力を出せるヤツもいるようだな」
そういえば、私が倒したやつのうちの一人があんなことを言ってたな。
「適性Sって呼ばれてるのがいた......。そいつにやられたんだ......」
「適性S? マジかよ! 馬鹿げてるってそんな
適性! 」
もうそろそろ話せなくなりそうだ......。そうだ。
「最後にいいか? なんであのとき私を止めようとしたんだ? 」
シンは少し微笑み、口を開く。
「お前は努力をたくさんしていた。それは認めるよ。でもお前は努力すると失敗を忘れる。するとどんどん努力も減っていく。だから少しずつ、本当に少しずつだが、お前は弱くなっていくんだ。弱くなれば負けも増えていき、死ぬ可能性も増えていく。僕はお前には死んでほしくなかったんだ。ごめんな......」
シンの目から涙がこぼれる。
「兄のくせに守ってやれなくて......」
「大丈夫だよ......、こうなったのは私のせいだから、教えてくれて......、ありがと......う」
そしてカミサは息を引き取った。




