浜松大激突⑬
前半は、長田支部長視点。後半は透斗視点です。
私がギアの制限を少し解除したばかりの頃はこんな絶望的な状況じゃなかった。
むしろ、このまま圧勝できるかな......、そう思って疑わなかった。でも、現に私は今こんな状況に直面している。
俺は先程何百本もの鋭い触手をさばき切ることができず、片腕をなくした。ギアを使っている時に手を失っても元に戻るが、それはギアを解除したときだ。つまり、こいつと戦っている時にもどることはない。
「君がこんな力を隠しているとは......。なんて化け物じみた力なんだ......」
「フッ、お前ほどの強者にそんなに褒めてもらえるとはな、礼を言おう。でも、私なんかに負けていてはマイ様やその他の幹部様たちには勝てないぞ」
そうか、こいつより強い化け物もいるのか。マイと言うと、蓮が相手をしてるやつじゃないか。蓮は1人で大丈夫なのか。クソッ、ただでさえ人手が足りないのに私が負けてしまったら......
「さあ、おしまいだ」
仕方ない......。温存して負けるくらいなら使ってやる!
「リミッター、完全解除! 」
次の瞬間、今まで経験したことの無いような力を得る。
「まだ強くなれるのか? どこまで強くなれる? でも、私も負けるわけにはいかん! 」
そして、ものすごい2つの力が衝突し、周りのものは吹き飛ばされる。
◇
いま幹部のマイの相手をしている蓮、そして、勢いのすごい浜松駅の黒い柱から出てくる機械を狙撃で掃除する実羽以外のハイパー隊員が航空自衛隊浜松基地の西側に来るよう指示される。
俺と麻奈は情報を共有しながら急いで向かっていた。
「なるほどなるほど、渚の力が必要になる可能性が高いからギアの復活を急いでいるってこと? 」
「そういうこと、あと、今向かっている先にいるワットなんだけど、あの支部長をもってしても、あとどれくらいもつかわからないんだって! 」
「それは本当なのか? 」
最近ストロントに来ていなかったとはいえ、支部長は最速でハイパー隊員にのぼりつめた人だ。その記録は今でも塗り替えられていなく、また、彼を公式戦で倒したものはまだ出ていない。
ま、蓮ならもしかしたらいけるかもしれないが......
「あ、そういえば浜松駅の方はどうなったんだ? そっちには向かわなくていいのか? 」
「ああー、それを言うの忘れてたよ。たまたま、今日から浜松合宿の予定だった大宮支部の人たちが、協力してくれて、結構落ち着いたみたい。あの超でっかい手裏剣を使う人いたじゃん? あの人が渚を倒したワットを倒したんだって! 」
「あー、あいつか! あいつならできそうな気がする」
「そうでしょ、よし、早く全部倒して家に帰ろ! 透斗! 」
「もちろん! 」
俺はこの先が地獄だと推測しながらもどんどん麻奈と進んで行く。
(帰ったら何しよう? )
戦場でそう考えてしまったのは秘密だ。




