浜松大激突⑧
前半は渚視点、後半は長田支部長視点です。
私はいま失意のどん底にいる。
(私が負けたせいで......、みんなが負けちゃうかもしれない......。せっかく蓮さんが、マイというワットの相手を頑張ってくれているのに、私はマイより弱いあいつに簡単に負けてしまうなんて......。もう......)
感情の悪循環が止まらない。どうしようと思ったその時。
「随分悔しそうですね、山上さん」
この部屋にはまだ私しか居ないはずなのに声が聞こえる。聞こえた方を見ると、白い白衣を着た人がたくさん立っていた。
「あなたは、ワットに負けたのが悔しい、そうですね? 」
「......、はい」
「ならあなたにとって良いことをお伝えしましょう」
何を言っているのかよく分からなかった。
「私たちは浜松支部の技術官です。私たちみんなであなたの復活に手を尽くせば、通常システム修復に5時間かかりますが、2時間に短縮できます」
なんと画期的なものだ、と私は思った。
「どうします? もう一度戦いたいですか? あなたが戦いたくないと言うのであればしませんが」
「もちろん、もう一度戦いたいです。私はこの力ををみんなに役立てたいんです! 」
「決まりですね」
すると技術官たちはせっせと作業を始めた。
(出来るだけ早く戻るから、それまで待っててね、みんな! )
私はそう考えると、空を見上げた。
◇
(ふむふむ、この子なかなかやる。たとえ、最近ストロントに行ってなく、腕が鈍っているとはいえ、私が出ればたいていのワットは倒せるのに......。それにしても、こんなに立て続けに意思を持つワットが現れるとは......。不思議なことが最近たくさんあるな)
「フッ、お前、このカミサ様にてこづらせるなんて、なかなかやるじゃないか? 」
まだ余裕があるのか、目の前のワットは話しかけてくる。
(仕方ない、本当はおんぞんしておきたいが、このままでは時間がかかりすぎてしまう)
私は決心すると
「『リミッター一部解除』! 」
すると、どんどん力がみなぎってくる。
(この力で倒す! そして、浜松駅前に一刻も早く戻らなくては! )
◇
(こいつ、本当に化け物だ! 力を解放しなくても十分強いのに、さらに力をつけられてしまえば、たまったもんじゃない! )
案の定、目の前の男の、鋭く力強い刀、力を解放したことにより跳ね上がったスピードですぐにやられてしまう。
「君は十分強いよ。でもこんなところにずっといるわけにはいかないんだよ」
そいつが刃を向けてくる。
「仕方ねぇ、お前覚えとけ!奥の手があるのは......」
そして、私は『リターン・ギア』の回路を切った。
その瞬間、私の力がこれでもかと言うほど溢れていた。そして、体の各所から数多くの細く、そして鋭い触手が生えてきていた。
「ーーなに......? 」
目の前の男が初めて全く余裕のない表情を見せる。
「こっちも同じなんだよ! さぁ、ここからが本番だ! 」
浜松に再び悪夢が訪れる!
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